2025年新入社員調査(産業能率大学総合研究所)の結果をもとに、今年の新入社員たちの特徴や意識の変化について詳しく見ていきましょう。
まず、彼らの年功序列への意識が高まっていることがわかります。調査によると、年功序列志向が過半数を超えたとのこと。これは、企業文化や職場環境における信頼関係の重要性を示唆しています。
さらに、安定志向や終身雇用への期待が増加している点も注目すべきです。特に、経済の不安定さや社会情勢の変化を背景に、多くの新入社員が「長く働ける環境」を求めていることが伺えます。この傾向は、単に安定を求めるだけでなく、成長と安定のバランスを重視する姿勢にもつながっています。
また、上司や職場に求めることについても変化が見られます。新入社員は、よりオープンでコミュニケーションが取りやすい環境を求めており、上司との信頼関係やフィードバックの重要性を感じています。これは、彼らの働く意欲や満足度にも影響を与えているようです。
働く意欲や満足度の高さについても、調査結果は示唆に富んでいます。多くの新入社員が自らの成長を実感できる環境に身を置きたいと考えており、これが企業にとっても新たな人材育成の方針を見直すきっかけとなるでしょう。
加えて、ジョブ型雇用への意識や残業に対する考え方にも変化が見られます。新入社員たちは、明確な業務内容や成果に基づく評価を重視しており、効率的な働き方やプライベートの時間を大切にする意識が高まっています。
この記事では、これらの特徴や意識の変化を詳しく解説し、実例を交えながら、今後の社会や職場環境への示唆をお届けします。読者の皆さんが現場で役立つヒントを得られるような内容を目指して、掘り下げていきます。
さあ、新入社員たちがどのような価値観を持ち、どのように働く意欲を高めているのか、一緒に探っていきましょう!
2025年新入社員調査から見えた「安定と成長を両立する世代」のリアル
今年も産業能率大学総合研究所による「新入社員の会社生活調査」の結果が発表されました。
2025年度は、コロナ禍を経て社会の不確実性が一段と高まる中、369人の新入社員がどんな価値観や希望を持って社会人生活をスタートしているのか――。主なトピックごとに深掘りしながら、今の若手世代の“リアル”を紐解きます。
「年功序列志向」初の過半数 ~安定を重視する新しい潮流~
今年最大のトピックは、何と言っても「年功序列志向」の過半数突破。
「年功序列」と「成果主義」のどちらを希望するか?の問いに対し、実に56.3%が「年功序列」を支持。これは調査史上初の快挙です。背景には、「実力だけでは評価が不安定」「社会が激変する中で、着実に積み重ねられるキャリアの方が安心できる」という声がありました。
経済や雇用の不透明感が増す時代、若手こそ“地に足のついた安心”を重視し始めているのかもしれません。
「終身雇用」「長期勤続」志向も増加
続いて注目すべきは「終身雇用を望む」人の割合が69.4%、「同じ会社に長く勤めたい」も51.8%と高いこと。
「将来への不安が強い今こそ、安定した職場で腰を据えて働きたい」という堅実な姿勢が見て取れます。
一方で、「変化し続ける社会の中で、長く一つの会社で働くには自分自身もアップデートし続けなければ」という“成長意識”も同時に持ち合わせている点が、今の新入社員ならではの特徴です。
「成長できる職場」&「楽な職場」も本音で両立志向
「働く環境」で一番人気だったのは「成長を実感できる職場」(58.8%)。
一方、「そこそこ楽な職場」も30.6%。
「楽がしたいわけじゃない。でも、心身をすり減らしてまで無理はしたくない」――今の若者らしいバランス感覚が伺えます。
上司・先輩に求めるのは「細かなサポート」と「公平感」
「やり方や手順を細かく教えてほしい」が66.7%と最も多く、続いて「平等に接してほしい」「良い仕事を褒めてほしい」「建設的なフィードバックがほしい」と続きます。
つまり「新入社員は自立していない」と考えるのではなく、“きめ細かい指導”と“対等なパートナー意識”が求められているのです。
現場の管理職にとっては、「忙しいから自分で考えて!」ではなく、まずは丁寧な教え方を心がけたいところですね。
働く満足度・意欲ともに過去最高水準
就活への満足度は96.5%、働く意欲も高く、「60歳以上まで働きたい」が86.2%と過去最高。
これほど前向きな新入社員が増えているのは、コロナ禍で「働く意味」や「自分らしいキャリア」を見つめ直した人が多いことも背景にあるのでしょう。
同時に、「ジョブ型雇用希望」が27.9%、「月残業10時間以内希望」も24.1%と、多様な働き方・評価軸を志向する若手も増えています。
これからの職場に必要なこと
2025年新入社員の特徴は、
「安定志向」×「成長志向」×「きめ細やかなサポート」
この三つの掛け合わせです。
管理職や先輩世代に求められるのは、「教える力」「公平な姿勢」「時代にあったキャリア支援」。
そして、企業・組織側には「働きやすい環境」「多様な働き方の選択肢」「成果だけでなくプロセスも評価する制度」へのアップデートが、今後ますます重要になるでしょう。
「新入社員=挑戦的で自己主張が強い」というイメージは、もはや過去のもの。
彼らは「安定と成長、どちらも大切にしたい」と願う、バランス感覚の鋭い世代です。
これからの組織運営や人材育成を考えるうえで、ぜひ今回の調査結果をヒントにしてみてください。