オフィスKojo 「伝刻の詞」

「人のこと」にまつわるさまざまなできごとを本質的な視点で見つめていきます。

Z世代・2025年新入社員は「自己成長」と「やりがい」で動く?──企業が整えるべき育成環境とは

2025年度の新入社員は、どんな価値観を持ち、何を求めて社会に飛び込んできたのでしょうか?

PR TIMESに掲載された『2025年度 新入社員の傾向と育成のポイント』という記事では、株式会社シェイクが約1900名の新入社員を対象に実施した調査の結果が紹介されていました。

今回の調査では、「働くうえで大切にしたいこと」として「自己成長」を挙げた新入社員が62.9%、「やりがい」が58.5%と、いずれも過半数を占めています。

昨年度は「やりがい」が1位だったそうですが、今年は「自己成長」がトップに躍り出ました。

Z世代の価値観が、少しずつ変化していることが読み取れます。

prtimes.jp

自己成長を求める背景とは?

「自己成長」という言葉は抽象的ですが、今回のレポートによると、新入社員にとっての自己成長とは、「目的に向けて効果的に行動するための意識と能力を高めること」だと定義されています。

成長を実感することに喜びを見出す、そんな姿勢が強く見られるのがZ世代の特徴です。

約6割の新入社員が、「新しい知識・スキルを身につけること」を楽しみにしているというデータも紹介されており、学び続けられる環境へのニーズは非常に高いようです。

企業側としては、成長を支援する場の提供がますます重要になるでしょう。

具体的には、

  • インプットとアウトプットのバランスを取った実践機会の提供

  • PDCAサイクルを取り入れたフィードバック文化の醸成

  • 自主的な学びを支援する仕組み(OJT、eラーニングなど)

といった工夫が求められます。

やりがいは「他者との関係性」の中で育つ

「やりがい」は、依然として根強い価値観のひとつです。

調査では、「誰かに努力や成果を認められたとき」「自分の力で課題を乗り越えたとき」「自分の成長を実感したとき」に、やりがいを感じると答えた新入社員が多く見られました。

このことから見えてくるのは、「やりがい=他者との関係性の中で生まれる」という点です。

ただ単に自己完結する達成感だけでなく、「周囲との対話」や「承認」がカギになります。

企業側がやりがいを育むためには、

  • 成果や過程を上司や先輩がフィードバックする文化

  • 単調な作業の背景や意義を丁寧に伝える仕組み

  • 新入社員の仕事が「誰に・どのように貢献しているか」を可視化する工夫

といった、「つながりを実感できる職場環境」づくりが大切です。

「長く働きたい職場」とは?

調査では、「長く働き続けたいと感じる職場の条件」についても問われています。

多かったのは以下の3点:

  • 成長できる環境があること

  • 人間関係が良好であること

  • 自分の意見を聞いてくれる風土

いずれも、心理的安全性挑戦機会の両立が求められていることが分かります。

Z世代は決して「ラクしたい」「すぐ辞める」というわけではなく、「がんばれる環境が整っているかどうか」を慎重に見ているのです。

企業が人材を惹きつけ、定着させていくためには、単なる待遇改善ではなく、関係性を育むマネジメントや、育成への本気度が問われているのではないでしょうか。


おわりに:Z世代の育成は「問いかけ」から始まる

新入社員にとっての「成長」や「やりがい」は、画一的なものではありません。

だからこそ、上司や育成担当者が「どうなりたい?」「どう感じてる?」と、本人の内面に寄り添う対話が欠かせません。

この春、みなさんのチームに加わった新入社員の声に、しっかり耳を傾けていますか?