4月から新しい仲間を迎え入れた企業の皆さんにとって、この時期は“新入社員とのすれ違い”が表面化しやすい時期でもあります。
DIAMOND Onlineに掲載された記事『「今日は会社休みます。理由は言えません」「試用期間中だが辞めてもらう」新入社員vs会社、どちらが正しい?』では、Z世代の価値観と企業側の労務管理方針がぶつかり合う、非常に示唆に富んだケースが紹介されていました。
「会社、今日は休みます。理由は言えません」
記事で紹介されていたのは、新入社員Aさんの行動。
-
始業前に「休みます」とだけ連絡
-
欠勤理由の開示は拒否
-
有休での処理を求める
会社側は困惑し、労務の専門家に相談。
結果としては法的には「欠勤理由を伝えないままの欠勤が続けば、契約違反と見なされる可能性がある」とのこと。
✅ 労務的なポイントまとめ
-
欠勤≠無断欠勤:連絡さえあれば「無断欠勤」ではないが、理由不明・頻度多発は問題になる
-
有給振替は“申請”であり“当然の権利”ではない:会社の判断で却下可能
-
試用期間中でも解雇は可能:ただし合理性と社会的妥当性が必要
ただし、“正しさ”だけでは動かないのが人間関係
興味深いのは、この問題の「解決の兆し」が、上司との人間関係の中に見出されたということです。
実は新入社員Aがゲームに夢中になっていたこと、そしてそのゲームの中で“伝説の勇者”として崇めていた人物が、まさかの直属上司だった――というオチも。
ここに、“共通言語”をもつことの意味がにじんでいます。
「Z世代」と職場文化のズレ:ただの価値観の違いではない
社会保険労務士法人SkyBlueのコラムでも、Z世代の特徴について以下のように整理されていました:
-
チャット文化が主流:対面でのやり取りに不安を感じることも
-
納得感を大事にする:「なぜそのルールが必要なのか?」という思考が強い
-
共感と承認を重視:正しさよりも「気持ちを分かってくれるか」が行動の動機になる
これらの傾向は、単なる“甘え”ではなく、育ってきた環境と情報の受け取り方の変化に基づいたもの。
だからこそ、ルールを伝えるだけではなく、「伝え方」や「納得のプロセス」も重視する必要があると感じます。
指導と対話の“ハイブリッド”が、これからの職場のカギ
今回のような事例に直面したとき、私たちにできることは「間違っている」と一刀両断することではなく、以下のような“バランスの取れたマネジメント”ではないでしょうか。
-
ルールの意味を、丁寧に伝える(法的根拠だけでなく、組織の背景や理由)
-
相手の感覚を否定せず、対話する(理由を言いたくないという気持ちも含めて受け止める)
-
共通の文脈や話題を持つ(ゲームや趣味のような「関係構築のフック」を見つける)
まとめ:「正しさ」だけでなく、「つながり」がカギになる
法律的には会社の対応が“正しい”。でも、現場で起きているのは価値観の衝突であり、対話と信頼の不足です。
これからの人材育成やマネジメントには、一人ひとりの背景や“今どきの当たり前”に寄り添いながら、社会人としての基本を育てる「育ち合いの設計」が求められているのかもしれません。