最近、DIAMOND Onlineに掲載された記事『仕事ができない人はAIに「そのまま質問」する。では、賢い人がAIに入力している「意外なこと」とは?』を読み、思わずうなってしまいました。
それは、AIを「答えをくれる便利ツール」としてだけでなく、「思考の相棒」として活用している人がいる、という話だったからです。
この記事では、アイデアプラント代表であり、発想支援のプロフェッショナル・石井力重さんが、AIとのコラボレーションによる発想法を紹介しています。特に注目すべきは、「多様な専門家になりきらせてアイデアを出す」という使い方。
例えば、AIに対して「あなたは今、冒険家としてアイデアを出してください」「次はユーザー視点で」といった“役割の指示”を与えることで、ブレストの幅を一気に広げていくことができます。
これは、人手や時間が限られた中でも、質の高い思考やアイデア創出を可能にする、実践的で創造的なアプローチです。
AIとの「多視点ブレスト」がもたらすもの
従来の会議やブレインストーミングには、「参加者の属性に引っ張られる」「無難な発想に陥る」といった課題がつきものでした。
しかし、AIに多様な“人格”を演じさせることで、「極端な視点」「素人視点」「異業種からの視点」など、これまでにない多角的な切り口が得られます。
たとえば、ある企画についてAIに以下のような順番で問いかけてみると、こんな発見があるかもしれません。
-
技術者視点:「構造上、もっと簡略化できる部分があるのでは?」
-
ユーザー視点:「初心者にはわかりにくい表現が多い」
-
冒険家視点:「もっと奇抜で人目を引く要素が欲しい」
こうした“AI多視点ブレスト”は、特に人数が少ないチームや外部の専門家に気軽に相談できない環境で威力を発揮します。
実務でどう活かす?──ビジネスの現場での活用シーン
このような発想で、さまざまな実務への応用例を紹介します。
例えば、以下のような活用シーンが挙げられます。
-
定型業務の自動化:議事録作成、データ入力、請求処理など
-
コミュニケーションの補助:チャットボット対応、メール作成
-
データ活用:売上分析、市場調査、需要予測など
-
人材育成:社内ナレッジの整理やFAQの自動生成
-
企画支援:アイデア出しや企画書の草案作成
このように、AIは「仕事を代わってくれる道具」から、「一緒に考えてくれるパートナー」へと進化しています。
賢くなるには、“問いの質”を上げること
記事の中でも繰り返されていたのが、「AIに対して“そのまま聞く”のではなく、“問い方を工夫する”」という姿勢です。
たとえば、
-
✕「この業務、どう改善すればいい?」
-
○「もしあなたが業務改革の専門家なら、この業務のどこを削減し、どこに力を入れますか?」
このように問いかけるだけで、AIの回答の質が劇的に変わるのです。
言い換えるなら、「質問の質が、思考の質を決める」のだと思います。
まとめ:AIを“外部脳”として迎え入れる
今後、AIは私たちの仕事にますます深く関わってくる存在です。
その時、ただ「正解らしい答えを教えてくれる存在」として使うのではなく、「一緒に思考を深める相棒」として付き合えるかどうかで、成果も、働く楽しさも大きく変わってくると感じています。
「正しく問い、柔軟に組み合わせ、多角的に考える」
そんなAIとの関係性を築ける人こそ、これからの時代に求められる“考える力を持つ人”なのかもしれません。