オフィスKojo 「伝刻の詞」

「人のこと」にまつわるさまざまなできごとを本質的な視点で見つめていきます。

対談の虚実――架空対談の魅力と学び

ChatGPTを使っていろいろと研究をしているのですが、その第一弾として「専門家同士の架空対談」という企画を行ってみたのです。

note.com

これがなかなか面白く、それぞれの分野の専門家が本当に話しているのではないかと錯覚するぐらいのディスカッションが行われました。

これはせっかくなので記録しておきたいと考え、これまで閲覧でしか使っていなかったnoteに投稿して残すことにしました。

架空対談の第一弾は、「インストラクショナルデザインコーチングの専門家(フィクション)の対談」です。

それぞれの知見が融合されていき、新たなモデルが生み出されていくところは興味深いです。

基本的には「肯定ファースト」な展開なので、読んでいる方も不快に感じないので安心です。

あえて、それぞれの分野のアンチに登場してもらって疑義をぶつけてみました。

この返しなども参考になります。

あくまでもフィクションですし、エンタテインメントとしてご覧いただければありがたいのですが、私の知っている限りで監修はしており、今のところおかしな点は見当たりませんので、一定の学びにもなることと思います。

よろしければ、ご一読いただければ幸いです。

人材育成の核:コーチングとは

人材育成の核になるアプローチが「コーチング」です。

一方で、「コーチングは意味が無い」と言う人も少なからずいます。

marketing-full-support.co.jp

もちろん、コーチングが効果を発揮しない場合もあります。

例えば、コーチングが効果を発揮しないケースには、コーチのスキル不足やクライアントの受け身な態度が大きく影響していることが確認できます。

さらに、コーチングは短期的な結果を求めるものではなく、長期的に自己成長を促すプロセスであることを強調することが重要です。コーチとクライアントの間に信頼関係を築き、クライアントが主体的に取り組むことで、コーチングは真の意味を持つものになります。

コーチングが効果的であるためには、単なる技術的なアプローチに留まらず、クライアントの価値観や目標に寄り添ったサポートが求められます。この点を意識してコーチングに取り組むことで、より深い成果が期待できるでしょう。

また、コーチングを実践する際に留意したいポイントがあります。

そのポイントが「コーチング・コンピテンシー」としてまとめられています。

news.yahoo.co.jp

この記事では、コーチングにおける「コンピテンシー」を、コーチがクライアントにポジティブな影響を与えるための実力や潜在能力と定義しています。効果的なコーチングは、コーチの行動やスキルがクライアントの行動変容に影響を与えることが示されています。コーチがオープンで好奇心旺盛な姿勢を持つことが、クライアントにも同様の態度を促し、成功につながると述べられています。

また、コーチングの影響を調査したところ、自己管理に関わるコンピテンシーがクライアントの行動変容に最も効果的であった点は、コーチングにおける自己規律と感情管理の重要性を強調しています。コーチの達成志向が大きな影響を及ぼしたことは、明確な目標設定と計画立案がクライアントの行動に大きな変化をもたらすことを示唆しています。これは、特に複雑な環境で効果を発揮する能力です。

さらに、適応力と感情の自制も、自己管理において重要であり、クライアントに応じた柔軟な対応が求められることを示しています。社会的知性や関係性管理に関連するコンピテンシーも行動変容に寄与しており、特に共感や影響力がクライアントとの信頼関係を強化し、変化を促進する要因となります。

ビジネスコーチとして、これらのコンピテンシーを意識的に強化することは、クライアントの成功に直接的に貢献できる要素となります。特に、クライアントのニーズに合わせた計画的かつ柔軟なアプローチが、持続可能な成果をもたらすでしょう。

一方で、新入社員に対するコーチングは効果が限定的になるという指摘もあります。

www.jrla.jp

新入社員に対するコーチングの目的は、新入社員が早期に組織に適応し、自身のポテンシャルを最大限に発揮できるようサポートすることです。

しかし、コーチングの効果を最大化するためには、単に技術的なスキルを教えるだけでなく、個々の価値観やモチベーションを理解し、それに基づいて支援を提供することが重要です。新入社員は経験が浅いため、上司や同僚からの期待や職場の文化に圧倒されることが多く、そのような状況でコーチングが自己効力感を高め、職場での成功に結びつくのです。

また、コーチングを成功させるには、コーチと新入社員の間に信頼関係を築くことが不可欠です。この信頼があることで、新入社員はフィードバックを受け入れやすくなり、自分の成長に前向きに取り組むことができるようになります。

一方で、コーチングを提供する側も、自分自身が柔軟で適応力のあるアプローチを取る必要があります。個々の新入社員のバックグラウンドや性格によって、どのようなサポートが必要かが変わるため、画一的な方法ではなく、状況に応じた対応が求められます。

これまでご紹介してきたように、コーチングは状況に応じて使い分けることが必要です。コーチングを核にすることで、自分自身の意志で行動変容に結びつけることにつながります。

**研修効果**を高めるためのマネジャーの役割

人材育成の業界にいると「研修効果」についての関心はどうしても高まります。

特に、私のようにインストラクショナルデザインに携わる人間からするとよりその関心は高まります。

PR TIMESというサイトに『中堅社員の60.8%が企業研修で成長が感じられていない。人事が理解していない現場の声とは』という記事が掲載されていました。

prtimes.jp

この記事では、残念ながら『「研修を受講したが、効果が感じられなかった」と約半数の回答』がなされたようです。

その理由からみえてくるものは、『企業研修を受講を実施する前に、受講の目的を明確に示すことがとても重要である』と結論づけられています。

実は、『人材開発研究大全』という論文集の一つでも同様の研究結果が示されています。

www.utp.or.jp

www.mercurich.com

これらのことから考えても、研修に送り出すマネジャーは、部下の研修内容にコミットし、さらには「この項目が気になるから、研修後に教えてくれないかな」などと研修内容について教えて欲しいというメッセージを伝えることも研修の効果を高めることにつながります。

間違っても、「この忙しい時に研修なんか・・・」などと研修参加前にぼやかないで下さいね。

NEC新人35人が役員にアドバイス!? 革新的研修でウェルビーイングを高めるユニークな研修

Yahoo!ニュースに『「新人に可能性感じた」 35人の新入社員が講師、役員に助言 立場逆転の研修を初開催 NEC』という記事が掲載されていました。

news.yahoo.co.jp

この記事は、電波新聞がソース元のようです。

非常に興味深い記事なのですが、『新入社員が講師となり、役員が抱える課題をデジタルで解決するユニークな研修』という人材育成の一環として実施されたもののようです。

この研修では、『新人と役員が5人程度のチームに分かれ、「NEC社員のウェルビーイングが小さく向上する企画を実装せよ」をテーマにそれぞれ検討。新人たちは、自由な発想で意見を出し合うブレインストーミングなどで役員をリードしながら、問題発見や課題解決のフローを話し合った。』そうで、昭和世代の私からすれば驚愕の内容です。

しかも、『グループ企業も合わせると社員数が10万人を超える大企業のNECでは、新人が役員と話す機会はこれまでほとんど得られなかった。』ということで、いわゆる大企業で役員と新人が接する機会など皆無といっても過言ではないと思います。

そんな中でこのような研修を実施したことはかなり思い切ったという印象を持ちます。

このような取り組みは「リバースメタリング」といわれており、今回の研修も「リバースメタリング研修」と位置づけられています。

schoo.jp

リバースメタリング自体は、『最初に考案して自社に導入したのが、ゼネラル・エレクトリックの元CEOであるジャック・ウェルチ氏』だとされているので、そこそこの歴史があります。

ウェルチ氏のねらいとしては『若手社員をメンターに任命して、最先端のICTの動向や使い方を学ぶ』ことだったようです。

実際の効果としては他にも、若手社員が上司や先輩に助言を行うことで、最新の知識を共有し、若手社員のモチベーションを高めたり、コミュニケーションの活性化や管理者のスキル向上にも寄与しているようです。

P&Gや資生堂などでも取り入れられているようで、最新のデジタル動向などに疎い年配者にとっては刺激にもなりそうです。

しかし、この考え方を取り入れるためには、いわゆる「老害」を発動しない工夫も必要になるでしょう。

若手社員が取り組むアクションラーニングなどでは、最終プレゼンテーションで幹部の「ダメ出し」が飛び交い、若手のモチベーションを下げてしまう光景をよく観ます。

まずは、「肯定ファースト」で受け止め、ヒントになるところを汲み取ることが重要なのでしょうね。

効果絶大!人材育成における新しいアプローチとは? #人材アプローチ

ITmedia ビジネスONLiNEに『仕事の幸せ度、年々減少 2024年の平均は「55点」 幸せのために必要な要素とは?』という記事が掲載されていました。

www.itmedia.co.jp

この記事において、『仕事が幸せな理由として回答が最も集まったのは「労働時間が適切で、残業や休日出勤が少ない」(20.1%)』だったとのこと。

昭和の価値観から大転換したと胸が熱くなります。

一方で、人手不足により、適切な労働時間や休日勤務は増加する傾向にあるようです。

人手不足への対処には、『1位は「人材の育成、スキルアップの機会創出」(40.3%)』という結果になっているのですが、忙しい中で人材育成の時間を捻出する難しさもあります。

とはいえ、人材育成を行わないと問題解決しないというジレンマ。

ここで発想の転換が必要になります。

「人事育成=教育」という発想を変えるということです。

人材育成とは、「学習」と「行動変容」をゴールとした支援活動です。

なので、育成のためにできることは「なんでもする」のです。

日経ビジネスに『大阪の町工場で新人が起こした奇跡 マニュアル刷新で離職率大幅減』という記事が非常に示唆に富んでいます。

business.nikkei.com

この記事は、有料会員記事なので全部は読めないのですが、前半の無料部分だけでも参考になります。

特に、『作業の当事者である新人が各部署でマニュアルを制作することにしたのだ。結果は大成功。多くのメリットがあった。』ということです。

私も、「マニュアルは新人に作らせる」ことを推奨しています。

分からない人が作った方が、いろいろな発見があるからです。

皆さんの職場でも人材育成のためにできることを探ってみませんか?

コーチングとティーチングの効果的な活用法

部下を指導する際のアプローチでよく取り上げられるのが「ティーチング」と「コーチング」です。

対立関係にあるよう語られことがありますが、部下の状況とスキル、心情などにより使い分けたり、組み合わせたりすることが望ましいと考えています。

マイベストプロ福岡というサイトに『コーチングとティーチング、どっちがウケがいい?』というコラムが掲載されていました。

mbp-japan.com

この記事では、丁寧にコーチングとティーチングの違いやそれぞれのメリット・デメリットが解説されています。

私が専門で取り組んでいるインストラクショナルデザインでは、「使えるものは何でも使う」という態度で学習の支援に向き合います。

www.gsis.kumamoto-u.ac.jp

なので、それぞれの特徴を把握して、効果と効率を考えながら使い分けたり組み合わせたりするのです。

学習の支援をするためには、あまり制約を設けず、目の前の部下や後輩が育つためのいろいろなやり方で指導を進めていきましょう。

育成≠教育です。

「教えたからできるはずだ」とか、「気づきがあったみたいだから行動が変わるはずだ」など、思い込まずに行動の変容が見られるまでフォローし、フィードバックを行うことも重要です。

ID(インストラクショナルデザイ ン)の第一原理 ~嚶鳴の学び舎バックナンバー~

今回は、効果的な学習環境を実現するために必要な5つの要件をまとめたM.D.メリルが提唱する「ID(インストラクショナルデザイン)の第一原理」をご紹介します。
まず最初の原理は、「現実世界の問題から導入する」ということ。
これは、明日にでも役立つ知識を獲得させることの重要性を説いたものです。
次の原理が「活性化」で、受講者の過去の経験を呼び覚ます働きかけの重要性を説いています。
三つ目が「例示」です。研修のアンケート結果でも、「講師の体験談が参考になった」という回答もあるように、事例を伝えてイメージしてもらうことが理解を深めるうえで大切であるということです。
四つ目は「応用」で、実際に受講者にトライしてもらいます。私の研修では、ゲームやロールプレイングをよく使っていますが、「知っているけどできない」ことを体感してもらい、継続的なトレーニングにつなげていただくよう働きかけています。
最後が「統合」です。現場で活用すべく、実際の状況を振り返り、アクションプランを作成することです。この際、職場における環境も重要になります。特に、上司が新しい挑戦を制止することがあります。こうなると、学んだことはほとんど意味をなさなくなるといっても過言ではありません。
結局のところ人の学びは、自分自身の学習だけではなく、学んだことを活かせる場をつくる管理職の支援も必要なのです。
今回とりあげた「IDの第一原理」は研修だけではなく、OJTでも活用できるモデルです。
皆さんの職場における学習環境についてチェックしてみませんか?
(参考:『教育設計についての3つの第一原理の誕生をめぐって」鈴木克明・根本淳子)

 

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