オフィスKojo 「伝刻の詞」

「人のこと」にまつわるさまざまなできごとを本質的な視点で見つめていきます。

2025年最新動向から考える「職場ハラスメント対策」──パワハラ・カスハラ・法的対応と社会的課題

ハラスメント問題が加速する2025年 ~最新調査と社会動向~

2025年、職場のハラスメント(パワーハラスメント、カスタマーハラスメントなど)に対する社会の関心と規制強化が過去最大級に高まっています。
厚生労働省などの最新調査によると、「ハラスメントへの意識が上昇した」と答えた人は実に88.2%。「職場の対策が強化された」と感じる人も6割近くに上る一方で、約60%が「相談窓口など防止策はあるが不十分」と答えています。被害経験がある人も55.1%にのぼり、現場では依然として深刻な状況が続いていることが明らかになっています。

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相談窓口の整備と“相談しない人”の多さ

ハラスメント被害にあった後でも「誰にも相談しなかった」と答えた人が最も多く、さらに「ハラスメントを理由に退職・退職を検討したことがある」人も約82%と、職場における深刻な離職問題につながっています。
相談体制の整備が進む一方で、「実際に相談しやすい」「具体的に対応してもらえる」と感じている人はまだ少ないのが現状です。


どんなハラスメントが多い? 2025年の最新ランキング

厚生労働省による2025年の企業相談件数を見ると、

が多く報告されています。

近年では「カスタマーハラスメント(顧客・利用者からの悪質クレームなど)」や、「就活ハラスメント(採用面接等での不適切な言動)」など新たな課題も急増。対応の柔軟性と現場レベルでの運用力が問われています。


ニュース事例:医療・教育・スポーツ現場にも拡大

実際のニュースでも、

  • 医療現場でのハラスメント被害により看護師の約3割が退職

  • 国立循環器病研究センター長のパワハラ事件

  • 男子デフサッカー日本代表監督のパワハラ問題
    などが2025年も大きく取り上げられています。

現場の士気低下・人材流出はもはや「一企業だけの問題」ではなく、社会全体の働き方や健康にも大きく影響しています。


法制度・条例の強化 カスタマーハラスメント防止条例も登場

法制度面でも進展があり、

  • 愛知県では2025年10月から「カスタマーハラスメント防止条例」を施行

  • 金融業界を中心に、カスハラ行為に対する毅然とした法的対応(警察・弁護士相談)が標準化

  • 判例や行政指導も増加、パワハラ・セクハラの慰謝料命令や再発防止策の強化

条例の施行により、企業には具体的な相談窓口の新設や、現場職員の研修・マニュアル整備が求められています。


現場で求められる「具体的な対策」とは?

1. 相談体制の拡充と周知

  • 社内・社外に複数の相談窓口を設置

  • 匿名で相談できる仕組みや外部専門家との連携

  • 相談者が不利益を受けない明確なルール作り

2. 教育・啓発活動の強化

  • 全社員・管理職への定期研修

  • 具体的なハラスメント事例・判断基準の共有

  • ハラスメント撲滅の経営層コミットメント発信

3. 加害者・被害者のサポート体制

  • 迅速・公平な事実確認と再発防止策

  • 必要に応じた配置転換・加害者への法的措置

  • メンタルヘルスやキャリア支援も視野に

4. 防止策の「実効性評価」

  • 実態調査や従業員アンケートで現場の声を定期的に収集

  • 改善点をすぐに反映し、PDCAサイクルで継続的に対策強化


ハラスメントを受けたらどうする?実践アドバイス

  • 証拠を残す(メモ・メール・録音等)

  • 信頼できる同僚や家族に相談する

  • 社内外の相談窓口・専門機関を活用

  • 三者(労基署・労働局・弁護士)への相談も選択肢

相談をためらわず、一人で抱え込まないことが大切です。最近はLINEやオンラインでも相談できる窓口が増えています。


まとめ:ハラスメント対策は「仕組みと現場意識の両立」がカギ

2025年、ハラスメントへの社会的関心と規制はこれまで以上に高まっています。
「防止策はあるが不十分」と感じる人が多い今こそ、

  • 実効性のある相談体制

  • 具体的な教育と啓発

  • 被害者を守る仕組みと現場目線での運用
    が求められています。

「自分や身近な人を守る知識」として、本記事の内容を現場で役立てていただければ幸いです。