日経ビジネスに『中身のない1on1に冷める若者の心理 「仕事で本音を言う必要あるのか」』という記事が掲載されていました。
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職場の「1on1ミーティング」や「エンゲージメントサーベイ」に対する若者の反応が冷ややかだという記事を読みました。
この現象には、世代間の価値観や職場観の違いが深く関係しているようです。今回は、若者が1on1ミーティングを「中身がない」と感じる理由や、改善のためにできることを考えてみます。
昭和世代は、仕事を通じて自己実現を図ることが当たり前とされてきました。しかし、若者世代は仕事以外の場所で自己承認を得る方法を多く持っています。趣味やSNS、さまざまなコミュニティがその場です。そのため、職場で評価を得たり、仕事で本音を語ったりすることが必ずしも重要だとは考えていません。
この価値観の違いは、1on1ミーティングに対する若者の冷めた態度として現れています。「どうせ何も変わらない」「言ったところで意味がない」といった諦めが、若者世代の多くに見られる傾向です。
1on1ミーティングは、部下と上司のコミュニケーションを深めるための場として広く採用されています。しかし、若者にとって「形骸化している」と感じられる場面も少なくありません。その理由には以下が挙げられます:
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目的が不明確
「何を話せば良いのかわからない」という部下の声が多いようです。具体的な改善につながる会話がなく、ただ形式的なやり取りに終始するミーティングでは、時間の無駄だと感じられます。 -
心理的安全性の欠如
上司との信頼関係が十分でない場合、本音を語ることはリスクとみなされます。「余計なことを言うと評価が下がる」と考える部下が多いのです。 -
組織全体の問題
エンゲージメントサーベイやストレスチェックが改善に活かされていないと感じる若者が多いことも、1on1への期待感を下げています。
1on1ミーティングが形骸化しないためには、上司側が意識を変える必要があります。以下のポイントを意識することで、若者世代の信頼を得ることができるかもしれません。
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目的と期待値を明確にする
「なぜ1on1をやるのか」「何を目指しているのか」を、部下と共有することが大切です。仕事上の課題だけでなく、キャリアの方向性や日常の悩みについても話せる場として位置付けましょう。 -
心理的安全性を高める
普段の軽い雑談やアイスブレイクを活用し、部下が安心して話せる環境を作ります。「話しても大丈夫」という信頼感がなければ、本音は引き出せません。 -
柔軟なコミュニケーション手法を試す
1on1に代わる方法として、「交換日記」や週報で意見を共有するなど、形式にとらわれない柔軟なアプローチを試すのも良いでしょう。 -
現場の観察を重視する
個人の問題に矮小化せず、組織全体の構造やタスクの適正配分を見直すことで、根本的な課題にアプローチします。
1on1ミーティングやエンゲージメント施策が成功するかどうかは、上司が若者世代の価値観をどれだけ理解し、寄り添えるかにかかっています。形式的な施策ではなく、双方向のコミュニケーションを重視することで、若者たちの信頼を得るとともに、組織全体のエンゲージメントを向上させることができるでしょう。