私たちはつい、「あの仕事は誰にでもできるのでは?」と見てしまうことがあります。
自動車整備士や配管工のような身近な職業よりも、外科医やパイロットといった遠い分野の職業を高く評価しがちです。
でも実際には、達人の本質は分野を超えて共通しているのです。
達人の共通点は「対象」ではなく「プロセス」
「達人かどうか」を決めるのは、仕事の種類ではなく、その取り組み方・プロセス。
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手先の器用さ
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作業の緻密さ
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経験を活かした判断
これは、整備士でも、外科医でも、芸術家でも変わらない“達人の証”です。
熟達の3つのステップ
ロジャー・ニーボン氏の著書『EXPERT』では、30名以上の一流を調査し、その共通プロセスを「見習い → 職人 → 達人」の3段階で整理しています。
見習い
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先輩に付き添い、模倣しながら学ぶ時期。
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経験も浅く、まずは「目で盗む」「やってみる」ことが中心。
職人
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高い技能を持ち、自分の手で成果を生み出す段階。
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大工や左官のように、伝統的な社会的評価が伴うことも多い。
達人
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長年の修練を積み、知識や技術を超え「道理」に到達した人。
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武道や芸術の世界では「奥義」と呼ばれる領域。
この流れは、ものづくりに限らず、あらゆる分野に当てはまります。
達人を正しく評価するために
私たちは「目立つ仕事」「華やかな職種」に惹かれがちですが、本当に価値があるのはどんな分野でも極めている人の存在です。
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「誰にでもできる仕事」を支えている達人たち
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目立たないが高い緻密さで結果を出す人たち
彼らの存在があるからこそ、社会は安定して回っています。
まとめ —— 見えない達人に目を向ける
仕事の評価は、その分野の“派手さ”で決まるのではありません。
「どんなプロセスで取り組んでいるか」「どこまで熟達しているか」に目を向けることが、真の達人を見抜くポイントです。
≫ここで、ちょっと考えてみてください。
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あなたの職場や身近な人の中に、“達人”だと思える人はいませんか?
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その人のどんなプロセスや姿勢が、周囲からの信頼につながっているのでしょうか?
日常の中にこそ、“本物の達人”は隠れているのかもしれません。