オフィスKojo 「伝刻の詞」

「人のこと」にまつわるさまざまなできごとを本質的な視点で見つめていきます。

新入社員の期待

ハフポスト日本版に『2024年度の新入社員に聞いた「入社の決め手」は?第1位が納得の理由だった【ランキング】』という記事が掲載されていましたので紹介します。

www.huffingtonpost.jp

ある意味、当然の結果かな、という感想を持ちましたが、やはり2位の「成長できる環境があると感じた(57.5%)」が入っている点で、成長実感の重要性を再認識しました。

ちなみに、2020年の調査では、第1位が「自らの成長が期待できる」だったので、いつの時代も自己成長に対する関心は高いようです。

offerbox.jp

このように、新入社員は成長を求めています。

自社のオンボーディングは機能しているか?育成の仕組みは効果と効率、そして魅力的なものになっているか、見直してみませんか?

経営層との連携が重要な人材マネジメント

企業が発展する過程で、従業員が100人を突破する際にさまざまな混乱が生じる事があります。

例えば、募集しても応募がない、採用の要件を緩和することで求めている人材とのギャップが生まれてしまう、人材育成が機能しない、職場における不平不満の蔓延、マネジメントの質の低下などなど、さまざまな問題が発生するのですが、このような状況を「100人の壁」というそうです。

この「100人の壁」を突破するための考え方についてHRzineというサイトで紹介されていました。

hrzine.jp

この記事において、『人事に求められる成果とは「良い人材を確保する」』ということだと論じていました。

さらにこれを分解すると

1.良い人材を採る

2.良い人材に育成する

3.良い人材を辞めさせない

4.リスクを低減する

の4項目であり、これらは「人事の本質」であるということです。

確かに、これらは「人事」機能の重要な要素です。

ところが、ForbesJAPANというサイトには、

『人事の本質は「自己実現」で人事を無くすこと』

という記事が掲載されていて、興味深い指摘をしていました。

forbesjapan.com

それは、これらの機能は重要だが、そもそもそれらは「人事の仕事ではなく、経営者とマネジメントレイヤーの仕事です。そこがしっかりと行われていれば、人事はいらないはず」と述べています。

私は、必ずしもこの意見に賛同しないのですが、一方で、人事の機能を人事部門に丸投げする「丸投げ人事」には懸念を持っています。

現在、「人的資本経営」が脚光を浴びていますが、これは「人材を費用と見なすのではなく、投資の観点で人の能力が遺憾なく発揮できるようにする」という考え方であり、「人」は「資本」という「モノ」のような捉え方をすることではないことは賛同しています。

また、人事の機能の多くは職場のマネジメント層が担う必要があるということも同意です。

そのうえで、人事部門は各職場単位では難しいこと、会社全体として経営層と一体になり戦略的に人材に関するマネジメントを行うことが求められるのだと思います。

なんとなく、「人事施策は人事部門の役割」と丸投げしたり、逆に「人事施策は人事部門の役割」だから人事部門に口出しするな、のような対立関係が生じることがありますが、そういう関係から脱却する機会として「人的資本経営」を捉えることが大切なのだと考えています。

管理職の心得「命解援」

仕事を「任せる」と一口に言っても、どこまで任せるかのバランスが難しいものですね。

YAHOO!JAPANニュースに、『ダメな管理職は「自由を与えて苦しめる」、いい管理職は「何を与える」か?』という記事が掲載されていましたので紹介します。

news.yahoo.co.jp

「自由は大事」と思いますが、「自由」な任され方というのは、言い換えれば「丸投げ」であり、「ほったらかし」ともいえます。

指示・命令をする上司の心得として「命解援」という言葉があります。

報連相」の対になる言葉といっても良いでしょう。

sugoikaigidosue.jp

「命解援」において、

1.命令:明確なゴールイメージを共有する

2.解説:「なぜそれをやるのか」「どうやるのか」について腹落ちさせる

3.援助:業務が円滑に実行できるような助言や支援を行う

ということです。

特に、最近の若手は「目的」や「意義」について知りたがります。

つまり、「解説」がないと納得して仕事に臨めないのです。

今一度、「命解援」について意識してマネジメントに当たりたいですね。

コーチングとティーチングの効果的な活用法

部下を指導する際のアプローチでよく取り上げられるのが「ティーチング」と「コーチング」です。

対立関係にあるよう語られことがありますが、部下の状況とスキル、心情などにより使い分けたり、組み合わせたりすることが望ましいと考えています。

マイベストプロ福岡というサイトに『コーチングとティーチング、どっちがウケがいい?』というコラムが掲載されていました。

mbp-japan.com

この記事では、丁寧にコーチングとティーチングの違いやそれぞれのメリット・デメリットが解説されています。

私が専門で取り組んでいるインストラクショナルデザインでは、「使えるものは何でも使う」という態度で学習の支援に向き合います。

www.gsis.kumamoto-u.ac.jp

なので、それぞれの特徴を把握して、効果と効率を考えながら使い分けたり組み合わせたりするのです。

学習の支援をするためには、あまり制約を設けず、目の前の部下や後輩が育つためのいろいろなやり方で指導を進めていきましょう。

育成≠教育です。

「教えたからできるはずだ」とか、「気づきがあったみたいだから行動が変わるはずだ」など、思い込まずに行動の変容が見られるまでフォローし、フィードバックを行うことも重要です。

コーチングと1on1の違いを解説

最近、「1on1」が注目されていますが、ときどき「コーチング」と混同されている方も見受けられます。

Japan Innovation Reviewというサイトに『混同すると逆効果の恐れも? 知っておくべき「1on1」と「コーチング」の違いとは 求められるスキルの解像度を上げて、より効果的な1on1にする方法』という記事が掲載されていましたので紹介します。

jbpress.ismedia.jp

この記事でも述べられているとおり、コーチングはICF Japanによると「思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことです。
対話を重ね、クライアントに柔軟な思考と行動を促し、ゴールに向けて支援するコーチとクライアントとのパートナーシップを意味します。』と定義されています。

icfjapan.com

つまり、コーチングには「ゴール」が必要だということになります。

一方で、「1on1」とは、「社員の成長を促すために上司と部下がマンツーマンで定期的にミーティングをするマネジメント手法」をいい、アメリカのシリコンバレーでは定着しているとのことです。

www.persol-group.co.jp

つまり、1on1においては、明確なゴールを定めることなく、対話を通じて成長を促すということで、ある意味では、「対話」がキモであると考えられます。

ある会社で、社内講師と参加者が1on1について話をしていたのですが、その時に参加者の一人が言っていた「ああ!1on1ってのは、アルコールのない居酒屋談義ですか!」と言っていたことが印象に残っています。

ある意味、本質をついているのではないでしょうか?

昭和から平成では、「飲みニケーション」などといわれるように、アフターファイブで酒場に行き、そこで本音をぶつけ合うことがありましたが、最近ではそういう場面も少なくなったように感じます。

そういう意味でも1on1は、これからの働きやすく働きがいのある職場づくりにおいて、より大切になって来そうに感じています。

マネジメントの鍵:納期と権限移譲

YAHOO!JAPANファイナンスにDIAMONDオンラインの『「超有能すぎる管理職」がやっている、たった1つの習慣とは?』という記事が掲載されていましたのでご紹介します。

finance.yahoo.co.jp

こういう記事のタイトルは往々にして大げさなもので、内容としても「確かにな」という感じのもの。

ですが、仕事において、マネジメントにおいて重要なことであることには違いありません。

端的にいえば、「納期」の設定と「権限移譲」の2つを行うということです。

納期に関しては、どのような仕事でも留意すべき点です。

一方で、権限移譲は管理職以上でなければなかなか行う機会がないものです。

つまり、権限を委譲するという行為は、管理職になるまで行う機会がないといえます。

権限移譲は、「エンパワメント」ともいわれます。

「エンパワメント」とは、「目標を達成するために、組織のメンバーが自律的に行動する力を与えるためのリーダーシップ技術のこと」です。

mba.globis.ac.jp

仕事を任せることは、想像以上に勇気がいるものではありますが、任せられなければ人は育ちません。

とはいえ、適切に任せることができなければ、「丸投げ」してきたと捉えられてしまいます。

適切なエンパワメントのためには、「ゴール」を示し、通常は任せるが適宜、声掛けやつまづきなどの確認を行いつつ支援を行う必要があります。

www.oricon.co.jp

この際に必要なことは「期日」を伝えることです。

このように任せて人材育成にもつなげるマネジメントは、「納期」と「権限移譲」をしっかりと行うことが大切です。

仕事は、勇気をもって「任せて」みましょう。

マネジメントの重要性とは?

昇進・昇格で管理職になられた方も多くいらっしゃることと思いますが、管理職に登用されたことに対して、「撰ばれてあることの恍惚と不安と二つわれにあり」というフランスの詩人ヴェルレーヌの言葉がよぎってきそうです。

そろそろ、「マネジメントがうまくいかない!」と悩まれる方もいらっしゃるでしょう。

世の中には、管理職は「罰ゲーム」というような考えをする方もいらっしゃいます。

toyokeizai.net

一方で、「管理職登用試験」を受験し、合格にならなければ管理職になれない会社もあり、そういう会社では管理職になることが一つの目標になっていることもあります。

何が違うのか、それは管理職に与えられている権限や報酬だけではありません。

まずは、管理職はどのような役割なのか、「マネジメント」とは何をすることなのか、こういう基本的なことが伝わっていないことも「罰ゲーム」として捉えられる一因でしょう。

www.nakahara-lab.net

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現代の管理職は、いわゆる「プレイングマネジャー」といわれるように、自分の担当業務を抱えつつ、マネジメントもしなければいけない状況です。

この状況を変えられなければ、それは多忙で「罰ゲーム」のように思われても仕方ありません。

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私も管理職の方と対話をする機会があるのですが、「自分が動かないと仕事している感じがしない」「結局は、自分が動いた方が早いし成果が出る」というように、「自分が動く」ことを良しと考える傾向が強いように感じました。

マネジメントの古典的な定義は、「Getting things done through others(他者を通じて、物事を成し遂げる)」です。

そして、マネジメントをさらにかみ砕くと「何とかして成果を出す」「どうにかして目標を達成する」ということです。

メンバーの力で「望ましい状態を何とかして実現していく」ために場を整え、支援をしていくことが重要であると認識したうえでマネジメントに向き合いたいですね。