オフィスKojo 「伝刻の詞」

「人のこと」にまつわるさまざまなできごとを本質的な視点で見つめていきます。

経営層との連携が重要な人材マネジメント

企業が発展する過程で、従業員が100人を突破する際にさまざまな混乱が生じる事があります。

例えば、募集しても応募がない、採用の要件を緩和することで求めている人材とのギャップが生まれてしまう、人材育成が機能しない、職場における不平不満の蔓延、マネジメントの質の低下などなど、さまざまな問題が発生するのですが、このような状況を「100人の壁」というそうです。

この「100人の壁」を突破するための考え方についてHRzineというサイトで紹介されていました。

hrzine.jp

この記事において、『人事に求められる成果とは「良い人材を確保する」』ということだと論じていました。

さらにこれを分解すると

1.良い人材を採る

2.良い人材に育成する

3.良い人材を辞めさせない

4.リスクを低減する

の4項目であり、これらは「人事の本質」であるということです。

確かに、これらは「人事」機能の重要な要素です。

ところが、ForbesJAPANというサイトには、

『人事の本質は「自己実現」で人事を無くすこと』

という記事が掲載されていて、興味深い指摘をしていました。

forbesjapan.com

それは、これらの機能は重要だが、そもそもそれらは「人事の仕事ではなく、経営者とマネジメントレイヤーの仕事です。そこがしっかりと行われていれば、人事はいらないはず」と述べています。

私は、必ずしもこの意見に賛同しないのですが、一方で、人事の機能を人事部門に丸投げする「丸投げ人事」には懸念を持っています。

現在、「人的資本経営」が脚光を浴びていますが、これは「人材を費用と見なすのではなく、投資の観点で人の能力が遺憾なく発揮できるようにする」という考え方であり、「人」は「資本」という「モノ」のような捉え方をすることではないことは賛同しています。

また、人事の機能の多くは職場のマネジメント層が担う必要があるということも同意です。

そのうえで、人事部門は各職場単位では難しいこと、会社全体として経営層と一体になり戦略的に人材に関するマネジメントを行うことが求められるのだと思います。

なんとなく、「人事施策は人事部門の役割」と丸投げしたり、逆に「人事施策は人事部門の役割」だから人事部門に口出しするな、のような対立関係が生じることがありますが、そういう関係から脱却する機会として「人的資本経営」を捉えることが大切なのだと考えています。