オフィスKojo 「伝刻の詞」

株式会社オフィスKojoの社長がその刻に感じたさまざまな事象を綴ります。

近江商人の人材育成

「三方よし」は、近江商人の商売に当たっての基本理念といわれています。ところが、「三方よし」という言葉自体は、近江商人に伝わる歴史的言葉ではないようです。元々は、近江商人の中村治兵衛家に「他国へ行商するも、総て我事のみと思わず、その国一切の人を大切にして、私利をむさぼることなかれ」という家訓を近江商人の研究者が、シンボル的標語として用いたもののようです。

それはさておき、そのような崇高な理念を掲げて商売を行う近江商人がどのような人材育成をしていたか見てみると、人事管理から教育まで近江商人の妻の仕事だったようです。育成の中身を見てみると、十歳くらいから丁稚見習いとして採用し、読み書きそろばんから使い走り、子守、掃除などをさせて、商人としての性格や才能の適性を見きわめる店員教育を行い、その後、適性に応じた店に配属したとあります。このことから、近江商人の教育は、知育のみならず、徳育にも力を入れた総合教育で「商人らしさ」を養成していったようです。

また、「陰徳善事(目に見えぬ陰に隠れた形で人のためになるような善いことを行うこと)」という理念をたたき込まれています。

ところが、現代の日本企業においては、人材開発が片手間の仕事に位置づけられている傾向にあり、そのことが企業不祥事につながる一因とも考えられます。

例えば、何か問題があったとき、お客さまの台詞でよく出るのが「お前の会社はどんな教育しているんだ!」というものです。

やはり今一度、自社の人材開発について見直す時期に来ているのではないでしょうか?

「転ばぬ先の杖」それぐらいの心構えで・・・

 

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