オフィスKojo 「伝刻の詞」

「人のこと」にまつわるさまざまなできごとを本質的な視点で見つめていきます。

挨拶の重要性とコミュニケーション

「挨拶しない自由」というキーワードが話題になっていました。

きっかけは、ABEMAプライムというインターネット番組の企画で、若者代表として登場した方の主張によるものでした。

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その後の炎上もあり、「自分は挨拶をする」と釈明を行い、「挨拶をしない自由もある、という若者だっているので尊重すべきではないか」という趣旨の発言だったようです。

挨拶の重要性については、いろいろな方が主張をされています。

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私は、挨拶やお礼はコミュニケーションの基盤だと考えています。

いくらコミュニケーションのスキルが高かったとしても、挨拶すらできない人とコミュニケーションを取りたいとも思いません。

挨拶やおじぎは、「私はあなたに対して敵対していません」という表明でもあります。

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挨拶のできない人は、自分に対して心を開いていない人となります。

そのような人とは関わりたくありませんよね。

また、部下から「挨拶をする意味」を問われたときに「そんなの常識だろ!」と突き放してしまっては、「じゃあ、挨拶をしない自由を発動」となるかもしれませんね。

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もし、部下から挨拶の意味を問われたら、ぜひとも良いコミュニケーションのチャンスと捉え、対話をしていただきたいと思います。

「挨拶のない職場」を想像して、そのような職場を好ましく思うかどうか、和気あいあいと話してみることがエンゲージメントの向上につながる一歩になるかもしれないですね。

上司に質問する時の秘訣:遠慮不要メール相談

日経ビジネスに『令和の若手社員に「困ったら何でも言って」はNG 答えは先に教える』という記事が掲載されていました。

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有料記事ですので、前半だけしか読めないのですが、要するに『困ったら何でも言って』と言われても、どのタイミングで相談すれば良いか分からないため、結局困ってしまうということのようです。

確かに、そういう面はあります。

先輩社員は多忙であり、忙しそうにしている先輩に話しかけるのは気が引ける、など遠慮してしまうという声も良く聞きます。

最悪のケースは、「退職したいと考えており、相談してからの方がいいと思っていたが、結局は相談のタイミングを逸してしまったので退職代行サービスを利用した」というものでしょう。

上司や先輩は、相談されることを疎ましいと思っている人はそれほどいないはずです。

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まず、『忙しそうに見える上司に対しても、質問や相談を遠慮する』必要はないと共有しておくことが重要だと考えています。

最近は、メールやチャットなど、さまざまなコミュニケーションツールがあります。

「忙しそうだと思えば、まずはメールやチャットで相談したい旨を伝えておくと良い」と相談のタイミングや方法を共有しておきたいですね。

 

新入社員とのコミュニケーション術:興味を尊重し距離を縮める#仕事以外の話題

DIAMOND Onlineに『若手社員との雑談、何を話せばいい?「趣味は何」「休日どうしてる?」もNGなワケ』という記事が掲載されていました。

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この記事の中で、「若手とプライベートな話題から仲良くなろうとするのはやめてください。」という指摘がありました。

その理由としては、「そもそも仕事に何の関係があるのか?」と思われるから、ということのようです。

そのように「仕事」に対して真摯に向き合っている新入社員は頼もしいことです。

一方で、仕事だけの話だと、なかなか対話が盛り上がらないこともあります。

そんな時、どのような話をすれば良いか、悩むこともあるでしょう。

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ご紹介した記事は少し古くはありますが、「「雑談」については“おおむね歓迎”ムード」とあります。

私も「雑談」を大切にしています。

最近の新入社員や若手社員の傾向としては、先輩社員とのコミュニケーションに対して慎重で遠慮がちな様子も見られます。

そんな時に仕事の話だけだとより緊張してしまったり、距離が縮まらずに人間関係で悩むことも考えられます。

一方で、自分勝手に「趣味やプライベートの話」を話したところで関心は持ってもらえないでしょう。

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新入社員の関心があることを知り、その内容に関する話であれば盛り上がりやすくなります。

ところが、新入社員が感心を持っていることに対して、「そんな下らないこと」みたいに拒否してしまうと、距離感はより離れていくことと思います。

例えば、「アニメ」が好きな新入社員に対しては、「最近のアニメでおすすめは何?」とか、「先日、たまたま〇〇というアニメを観たんだけど、なかなか面白かったよ」などと話しかけると、「先輩もアニメを観るんだ」と距離が縮まることがあります。

要するに、新入社員も一人の人間。

同じ職場の仲間として、向き合えば良いのではないでしょうか?

 

管理職の課題と魅力

「管理職は罰ゲーム」というキーワードをちょくちょく目にするようになりました。

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その背景には、組織のフラット化と管理職に対する権限の拡大が責任や責務の拡大に伴っていないことなどが要因だと思われます。

さらには、「プレイングマネジャー」が普通の状態になり、実務をこなしながらマネジメントもしなければならいことで、負荷が増大していることも背景にあります。

そのような状況において、管理職が疲弊している姿を観る若手従業員が管理職になりたがらなくなり、魅力が見いだせなくなっていることもあるでしょう。

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一方で、管理職になるということは、「自分のチーム」を持つことでもあります。

そういう意味では、「自分が考える理想のチーム」を作ることも可能になるはずです。

もちろん、独りよがりになってしまっては「よいチーム」にはならないので、メンバーとコミュニケーションをとりながら「より良いチームのあり方」を探ることが求められるでしょう。

ある意味、実際に管理職になれば「管理職のイメージ」も変わっていくかもしれませんん。

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また、「管理職の仕事はマネジメント」です。

今まで、管理職の話を聴いていると、「実務をしていないと仕事をしている感じがしない」という声も聞こえてきます。

このマインドを変えないと、「管理職はしんどい」「管理職なんて罰ゲームだ」と感じてしまうかも知れません。

もちろん、責任と責務が大きくなり管理職は楽な仕事ではないでしょう。

しかし、権限も大きくなり自由さも増す管理職は、本来は魅力的な役割だと考えています。

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まずは、自分の中で望ましい職場のあり方をイメージしてみませんか?

そして、そのチームを作るためにはどうすれば良いか、それを考えてみると管理職の立場が魅力的に感じるのではないでしょうか?

 

新入社員のOJTと年齢差

新入社員のOJTを担当する方については、年齢の近い方がまかされることが多くなっています。

一方で、ベテランの方が新人指導を行うことも少なくないようです。

とはいえ、ジェネレーションギャップは大きくなっているようで、OJTを任されている方向けの研修においては、「新入社員とのコミュニケーションが難しい」とか「新入社員が何を考えているか分からない」という意見が多く出ます。

日経クロステックに『新入社員のOJT、50代のトレーナーではうまくいかない?』という記事が掲載されていました。

この記事は、後半が有料記事になっているのですが、『OJTが難航する原因を年齢差と決めつけている職場は多い』という点が重要な指摘だと感じました。

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昔の話ではありますが、私が新入社員の時には50代後半の大ベテランの方が指導員としてついてくれたことを思い出します。

その指導員の事は、今でも覚えているのですが、いわゆる「武勇伝」をよく話してくれました。

当時は、「また同じ話してる」と思ったことです。

しかし、仕事の経験を積むにつれ、その指導員の言っていたことの大切さを感じるようになりました。

年が近ければ、早く関係性を築きやすい反面、「お友達感覚」が行き過ぎる可能性もあります。

やはり年齢に関係なく、新入社員の成長に関心を持ち、成長を促せる人がOJTの担当になることが望ましいのだと考えています。

 

従業員エンゲージメントの重要性と取り組み

「人的資本経営」の観点が重要だと言われて数年経過しました。

どの程度浸透しているかは昨年度の調査ではありますが、結果が示されています。

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具体的な方向性としては、「パーパス浸透」と「従業員エンゲージメント」に関する取り組みが多いようです。

その中で「従業員エンゲージメントの向上」は、マネジメントにおける重要な課題になりました。

実際、エンゲージメントの向上が生産性の向上や離職の防止に好影響であるという結果も出ています。

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エンゲージメントを向上させるためには、理念の共有が重要であり、最近はさまざまな企業で理念共有に向けた取り組みがなされています。

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また、1on1などの職場におけるコミュニケーションの向上もエンゲージメントに好影響を及ぼしています。

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いわゆる「飲みニケーション」と呼ばれるアフターファイブでのコミュニケーション機会が大幅に減少した現代では、「アルコールのない居酒屋談義」として1on1に脚光が浴びてきています。

1on1の場では、「無礼講」で部下の悩みや不平不満に耳を傾けてあげてください。

もちろん、そこから生産的な前向きな話し合いに展開していけば、信頼関係も高まり、エンゲージメント向上につながることでしょう。

チーム力を最大化する秘訣

「マネジメント」と「リーダーシップ」について、その違いが論じられることは少なくありません。

今回は、Harvard Business Reviewに『「素晴らしい組織」をつくるマネジャーの行動』という記事が掲載されていましたのでご紹介します。

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この記事のキモは、

〇「マネジメントよりリーダーシップが高度」という幻想

〇「マイクロマネジメントはダメ」という誤解

〇「マネジメント」と「リーダーシップ」は両輪

という点だと思います。

私も、同様に考えており、どちらかが欠けてしまうとチームは混乱します。

それは、実体験からもそのようにいえるでしょう。

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マネジメントは、古典的な定義によると「Getting things done through others」とあり、「他者を通じて物事を成し遂げること」とあります。

また、リーダーシップの古典的な定義によれば「リーダーは生まれ持った特性によってリーダーシップを発揮している」とありますが、一方でリーダーシップの理論は常に進化しており、最近では「サーバント・リーダーシップ」という考え方に変遷してきています。

これは、「権限を持つ個人ではなく、信頼に基づく集団の力で成果を導く」という意味です。

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最新のリーダーシップ理論だと、「オーセンティック・リーダーシップ」があります。

これは、「倫理観をもちながらも、自分自身の考えや価値観をもとにリーダーシップを発揮すること」です。

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とはいえ、リーダーシップの定義で最もしっくりくるのは「組織の目標を達成するためにメンバーの行動に影響を与えること、またその力のこと」です。

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そして、2009年のWorld Baseball Classicの優勝記者会見でイチローが語った

「向上心。これが集まったチームは強い。

よくチームにはリーダーが必要だという安易な発想があるが、今回のチームにはまったく必要なかった。

それぞれが向上心を持って、何かをやろうとする気持ちがあれば、そういう形はいらない。むしろないほうがいいと思った。

僕は外からリーダーのような存在だと言われたけど、実際、中では何にもなかった。

向上心があればチームはいくらでも可能性が見出せる」

という言葉が、心に刺さっています。

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チームの力を最大化する秘訣は、一人ひとりの「向上心を促すこと」なのかもしれませんね。