オフィスKojo 「伝刻の詞」

「人のこと」にまつわるさまざまなできごとを本質的な視点で見つめていきます。

教育効果測定

人材意育成を担当しているものにとって、教育の効果測定は悩ましい問題です。そこで、注目されるのがカークパトリックの「4段階評価モデル」です。
このモデルは、1954年に構想され、1959年に公表された伝統的な枠組みあり、人材育成に携わる者のバイブル的な存在です。
このモデルでは、学習者の教育に対する好感度を示す「反応(Reaction)」、事前事後のテストで測る「学習(Learning)」、教育の成果が現場でどのように活かされ、行動の変容につながったかをフォローする「行動(Behavior)」、そして、教育が組織全体にどのような影響を及ぼしたかを問う「結果(Result)」の四段階で評価を行います。
ただ、企業において研修を設計する際は、業績に対する良い影響がある事を前提に行っているわけで、本来は「行動(Behavior)」に良い成果があれば、「結果(Result)」にも良い影響が現れなければなりませんし、そのような研修を企画していきたいものです。

f:id:ogaz100:20160526134503j:plain

インストラクショナルデザインとは?

インストラクショナルデザインは、インストラクションを効率よく、効果的で、しかも魅力的な形で学習支援できるよう設計するための考え方のことです。

では、インストラクションとは何か、というと「学習者の学習を助けること」であり、ティーチングではありません。

なぜ、インストラクションなのかといえば、ティーチングがインストラクションの一部に過ぎないことを示しているからです。つまり、インストラクションには、さまざまな学習支援の方法があり、さまざまな活動があるということです。

インストラクショナルデザインは、「学習理論(心理学)」「コミュニケーション学」「情報学」「メディア技術」などさまざまな分野の知見を取り入れて、より良い学習支援のあり方を追求しています。

 

f:id:ogaz100:20160831095814j:plain

「マーケティング」って?

企業活動において、「マーケティング」は重要なテーマです。

ところが、今ひとつ「マーケティング」について、形式的な取り組みしかなされていないような傾向が見受けられます。

マーケティング」とは、辞書には「顧客ニーズを的確につかんで製品計画を立て、最も有利な販売経路を選ぶとともに、販売促進努力により、需要の増加と新たな市場開発を図る企業の諸活動。」(出典:デジタル大辞泉)と記されています。

中でも、「顧客ニーズを的確につかむ」「最も有利な販売経路を選ぶ」ということをどのようにするのか、そこが難しいところですし、実際に何を行えば「マーケティング」といえるのか、どうもハッキリしない点が「マーケティング」の難点であると考えていました。

そこで、「マーケティング」をもう少し分かりやすく定義できないか、と考えたとき、エルブレーントラスト株式会社代表 森本尚樹氏の著書「マーケティングは他社の強みを捨てることから始まる」を知り、読んでみて腹落ちしました。

マーケティングは、「売れる・儲かる仕組み化」』という考え方。

まさしく我が意を得たり、でした。

人の心理面を鑑み、自社独自の「強み」を追求することが、「マーケティング」の神髄なのだと思います。

今一度、自社の「独自性」、他社との違いは何なのか、振り返ることから始めたいものです。

f:id:ogaz100:20160526134503j:plain

インストラクショナルデザインの基盤

人材開発研究が進んでいる欧米では、インストラクショナルデザインという考え方が一般的です。

インストラクショナルデザインとは、学習者が効果的・効率的そして魅力的な学習が進められるよう支援することを目指し、教育学や教育心理学、学習科学などの理論や知見を集大成した考え方です。

その考え方の中心が、「学習者中心主義」と「完全習得学習」です。そして、それを実現するためのベースになる考え方が「スモールステップの原則」と「即時フィードバック」という理論です。

まず、「スモールステップの原則」とは、学習者がなるべく失敗しないように、学習のステップを細かく設定するよう教え方を工夫することです。なぜなら、失敗をするとそれが定着する危険性があるためです。そして、「即時フィードバック」は、「課題の達成時に与えるコメントやアドバイス」のことです。

 

f:id:ogaz100:20160519114433p:plain

人材開発の倫理規定

日本では、古来教育に力を入れてきたことを今までご紹介して参りました。

ところが、近年の日本企業における人材開発は、どちらかというと片手間に位置づけられている傾向にあるようです。

しかし、欧米では、人材の能力向上が企業発展の鍵であるという認識のもと、企業における人材開発に関する研究が進んでいます。

そして、欧米の人材開発に関わる者は、倫理規定に基づく専門職と位置づけられています。以下に、その倫理規定を示します。

  • 付加価値原則:顧客と地球環境に価値をもたらすこと
  • 実証実践原則:裏づけのある効果的手法を用いること
  • 協働原則:顧客の良きパートナーになること
  • 継続向上原則:プロとして腕を磨き続けること
  • 誠実原則:正直でうそがないこと
  • 機密保持原則:利益相反をまねかないこと

 これらは、欧米に限らず、日本でも重視されるべき内容であるはずです。

今一度、自社の人材開発を見直してみませんか?

f:id:ogaz100:20160823142004j:plain

近江商人の人材育成

「三方よし」は、近江商人の商売に当たっての基本理念といわれています。ところが、「三方よし」という言葉自体は、近江商人に伝わる歴史的言葉ではないようです。元々は、近江商人の中村治兵衛家に「他国へ行商するも、総て我事のみと思わず、その国一切の人を大切にして、私利をむさぼることなかれ」という家訓を近江商人の研究者が、シンボル的標語として用いたもののようです。

それはさておき、そのような崇高な理念を掲げて商売を行う近江商人がどのような人材育成をしていたか見てみると、人事管理から教育まで近江商人の妻の仕事だったようです。育成の中身を見てみると、十歳くらいから丁稚見習いとして採用し、読み書きそろばんから使い走り、子守、掃除などをさせて、商人としての性格や才能の適性を見きわめる店員教育を行い、その後、適性に応じた店に配属したとあります。このことから、近江商人の教育は、知育のみならず、徳育にも力を入れた総合教育で「商人らしさ」を養成していったようです。

また、「陰徳善事(目に見えぬ陰に隠れた形で人のためになるような善いことを行うこと)」という理念をたたき込まれています。

ところが、現代の日本企業においては、人材開発が片手間の仕事に位置づけられている傾向にあり、そのことが企業不祥事につながる一因とも考えられます。

例えば、何か問題があったとき、お客さまの台詞でよく出るのが「お前の会社はどんな教育しているんだ!」というものです。

やはり今一度、自社の人材開発について見直す時期に来ているのではないでしょうか?

「転ばぬ先の杖」それぐらいの心構えで・・・

 

f:id:ogaz100:20160704095824g:plain

「してみせて 言って聞かせて させてみる」

この言葉を聞いて「おや?」と思われた方もおいでるかもしれません。

現代においても部下指導の拠り所となっている山本五十六元帥の名言「やってみせ 言って聞かせ させてみせ 褒めてやらねば人は動かじ」じゃないの?という感想を持たれた方もおいでることと思います。

実はこの「してみせて 言って聞かせて させてみる」という言葉は、米沢藩9代藩主 上杉鷹山公の言葉といわれています。そして、山本五十六元帥は、上杉鷹山公のこの言葉に改良を加えて先の言葉にしたという説もあります。

また、福沢諭吉は、「学問のすゝめ」に「人は生まれながらにして貴賎上下の別はないけれどただ学問を勤めて物事をよく知るものは貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるのだ。」という主旨の説を述べております。

さらに遡ると、聖徳太子が記したとされる「三経義疏(さんぎょうぎしょ)」は、倫理教育の教科書としての側面も強く、推古天皇に対する講讃(こうさん)で使われたと考えられています。

いずれにしても、古代より日本人は教育熱心であったことが伺えますし、より良い教育のあり方を探っていたことが分かります。

 

f:id:ogaz100:20160818145935p:plain