近年、20~30代男性の「早期リタイア」を希望する人が急増しています。
その理由として「仕事が好きでない」と感じていることや、「投資で稼いで自由な生き方をしたい」という願望が挙げられています。
特に、終身雇用や年功序列の崩壊が若者のキャリア観に影響を与えており、成長や将来のビジョンが描けないことが、早期リタイア志向を強める要因とされています。
パーソル総合研究所の調査によると、20~30代男性の早期リタイア希望年齢は年々若くなっており、働くことへの興味が薄れていることが明らかです。
特に「仕事が好きではない」という理由が多く、「家族や趣味の時間を充実させたい」というライフスタイル重視の考え方が背景にあります。
さらに、家計を支えるための必要性が薄れたことや、共働き世帯の増加も早期リタイア志向を後押ししています。
労働環境の変化も見逃せない要素です。
バブル崩壊以降、終身雇用や年功序列といった日本型雇用の崩壊により、若者の間では企業への信頼が薄れ、仕事から得られる成長や幸福感が少なくなってきました。
このため、キャリアへの興味を失い、早期リタイアを考える人が増えているのです。
投資で稼いで早期リタイアを目指すという考え方は魅力的に見えますが、パーソル総合研究所の金本麻里さんは「投資だけでなく、スキル向上やキャリア形成の努力が必要だ」と指摘しています。
確かに、資産運用によって経済的自立を目指すのは一つの選択肢ですが、それには多くのリスクが伴います。
投資がうまくいかなかった場合のリスクヘッジや、将来的な働き方の柔軟性を考慮しながら、自分自身の成長やスキルを磨いていくことが、長期的な幸福感と安定した生活を手に入れるためには重要です。
若者の間で広がる早期リタイア志向は、仕事に対する価値観の変化や、投資による経済的自立への期待が背景にあります。
しかし、投資だけに頼るのではなく、仕事を通じて自己成長を目指す姿勢やスキル向上の努力が不可欠です。
現代社会において、仕事そのものが幸せや充実感をもたらす手段であることを再認識し、キャリアとライフスタイルのバランスを見直すことが求められています。
企業や社会全体としても、若者がキャリアを形成しやすい環境を整えることが、早期リタイアの増加を防ぐ一つの解決策となるでしょう。
今後も、このトレンドに注目しながら、働き方や投資に関する議論が深まることが期待されます。