オフィスKojo 「伝刻の詞」

「人のこと」にまつわるさまざまなできごとを本質的な視点で見つめていきます。

「頑張っているのに成果が出ない人」に共通する落とし穴 ――一点集中が仕事を変える理由

DIAMOND Onlineに
『「見ていられないほど仕事ができない人」の残念な働き方・ワースト1』
という、なかなか刺激的なタイトルの記事が掲載されていました。

diamond.jp

内容はシンプルで、かつ本質的です。

成果が出ない人ほど、マルチタスクに陥っている

という指摘でした。


マルチタスクは「器用」ではなく「消耗」

仕事が遅い人ほど、

  • 同時に複数の仕事を抱える

  • 連絡が来るたびに作業を切り替える

  • 「全部やらなきゃ」と思い込む

という状態に陥りがちです。

一見すると忙しそうで、努力もしているように見えます。
でも、脳の仕組みから見ると、これは効率的でも能力的でもない

脳は同時に複数のことを処理できません。
実際に起きているのは、

「同時進行」ではなく
高速な注意の切り替え

です。

この切り替えにはスイッチングコストがかかります。

  • 集中し直すのに時間がかかる

  • 認知負荷が増える

  • ミスが増える

  • 記憶に残らない

研究によっては、タスク切替で生産性が最大40%低下するとも言われています。

「頑張っているのに成果が出ない」

この正体は、能力不足ではなく集中の分散なのかもしれません。


■ 仕事ができる人は「一点集中」を設計している

一方、成果を出している人に共通するのは、

  • すべてをやろうとしない

  • 優先順位を明確にする

  • 「今やる1つ」に集中する

という姿勢です。

ここで重要なのは、集中力が高いかどうかではないという点。

彼らは、

  • 通知を切る

  • 作業時間をブロックする

  • 環境を整える

  • 「今はやらないこと」を決める

など、集中せざるを得ない状況を先につくっているのです。

集中は「意志」ではなく「設計」。

これはとても大事な視点だと思います。


マルチタスクが“許される仕事”もある

とはいえ、

マルチタスク=全部ダメ

という話でもありません。

研究や実務の知見を整理すると、

  • 深い思考

  • 学習

  • 企画

  • 判断

  • クリエイティブな仕事

こうした仕事は、圧倒的にシングルタスク有利

一方で、

  • メール処理

  • 事務作業

  • 待ち時間が多い業務

  • ルーティンワーク

こうした軽めの仕事では、限定的なタスク切替が合理的に機能する場合もあります。

ポイントは、

どの仕事を
どのレベルまで
同時に扱うか

無自覚にしないこと


■ 結局大事なのは「仕事の棚卸し」

この記事を読んで、改めて思ったのはこれです。

マルチタスクの問題は
「能力」ではなく
仕事の整理の問題

やるべきことを棚卸しし、

  • 今やること

  • 後でいいこと

  • 他人に任せられること

  • そもそもやらなくていいこと

を分ける。

つまり、

  • 優先順位

  • 劣後順位

を決めることが、仕事の質を決める。

忙しいときほど「全部同時に」やりたくなりますが、本当に成果を出したいときほど、

一つずつ、確実に終わらせる

この姿勢が、遠回りに見えて最短ルートなのだと思います。


■ 「できない人」ではなく「設計されていない仕事」

最後に。

「仕事ができない人」という言葉は、少し乱暴です。
多くの場合、その人がダメなのではなく、

  • 仕事の構造

  • 優先順位の不在

  • 集中を妨げる環境

が整っていないだけ。

一点集中は、才能ではなく技術です。

環境を整え、仕事を分け、「今はこれだけ」と決める。

それだけで、仕事の手応えは驚くほど変わります。