オフィスKojo 「伝刻の詞」

「人のこと」にまつわるさまざまなできごとを本質的な視点で見つめていきます。

燃えられないのは怠けじゃない —— 「燃えられない症候群」とは?

PRESIDENT Onlineに『なぜ昭和時代の日本人はバリバリ働けたのか…仕事もプライベートも「がんばりたくない人」が増えているワケ【2025年8月BEST】』という記事が掲載されていました。

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「何をやっても夢中になれない」「仕事に必死になれない」。
そんな感覚を抱いている人が、最近は増えているそうです。

明治大学・堀田秀吾教授は、これを 「燃えられない症候群」 と名付けています。
燃え尽き症候群」と違い、燃え上がる前から火がつかない状態。努力はしているのに心がついてこない、そんなもどかしさを表しています。


昭和の人はなぜ燃えられたのか?

高度経済成長期の日本では、人々は朝から晩まで「バリバリ働く」ことが当たり前でした。

その背景には、こんな 社会的な圧力(規範的影響) がありました。

  • 仲間外れになりたくない

  • 苦労を尊ぶ文化

  • ご近所や家族からの相互監視

こうした外部からの視線が、「必死に働く」ことを自然に促していたのです。


現代人が燃えられないワケ

一方で、現代は構造が大きく変わりました。

  • 豊かで安全になり、「燃えなくても生きられる」

  • コロナや戦争、物価高、雇用不安などで「燃えるより備える」を優先

  • 情報過多と決断疲れで「やってみよう」が奪われる

つまり、「燃えない」のは怠けではなく、時代に適応した自然な反応でもあるのです。


「燃えられない症候群」の特徴

  • 約7割の人が「熱中している物事がない」と答える調査結果も。

  • 「努力しているのに満たされない」「やりたいことが見つからない」など、意志力の問題ではない。

  • 才能や能力の差ではなく、環境要因が大きい。

燃えている人は環境が合っているだけ、とも言われます。


対策のヒント

堀田教授は、進化心理学脳科学行動経済学の視点から、3つの手がかりを挙げています。

1. 目標設定を工夫する

  • SMARTの法則(具体的・計測可能・達成可能・現実的・期限付き)を活用。

  • 大きな目標だけでなく、小さな達成を積み重ねる。

  • 「なぜやるのか」を自分の価値観や成長と結びつける。

2. 環境を見直す

  • 休養や業務量の調整、ストレス源の遮断。

  • 部署の変更や外部コミュニティの活用も一案。

  • 少しずつ「自分に合う環境」へシフトしていく。

3. 信頼できる人の存在

  • 相談できる相手がいるだけで心理的安全性が高まる。

  • 職場や家庭だけでなく、趣味の仲間や外部のメンターでも良い。

  • 雑談やピアサポートで孤立を避けることが効果的。


まとめ —— 「燃えにくい時代」を前提に生きる

燃えられないのは個人の怠惰ではなく、社会や脳の仕組みによる自然な現象です。
大切なのは、「燃えにくいのが当たり前」という前提を受け入れること

そのうえで、

  • 小さな目標を立てる

  • 自分に合う環境を探す

  • 信頼できる人とつながる

こうした“小さな火のつけ方”を見つけることが、次の一歩につながります。

  • あなたにとって「火がつく瞬間」はどんなときでしょうか?

  • 今の環境で、少しでも自分に合うように変えられることはありますか?

  • 信頼して話せる相手は身近にいますか?

「燃えにくい時代」だからこそ、自分らしい火の灯し方を探してみませんか。