オフィスKojo 「伝刻の詞」

「人のこと」にまつわるさまざまなできごとを本質的な視点で見つめていきます。

「仕事が遅い人」に共通する罠と、“一点集中”という処方箋

「いつの間にか時間が過ぎている」「やるべきことが終わっていない」。

そんなふうに感じたこと、ありませんか?

DIAMOND Onlineに掲載された『仕事が遅い人が無意識にやっている「典型的なNG行動」ワースト1』という記事は、現代のビジネスパーソンが陥りやすい“ある落とし穴”をズバリ指摘しています。

diamond.jp

そのNG行動とは、「多すぎるタスクに同時に手を出してしまうこと」。

私たちは「忙しい=がんばっている」「タスクを同時にこなせる人=デキる人」といったイメージに無意識に引っ張られがちですが、実際にはそれが生産性を下げ、結果的に成果を出せない原因になっているというのです。

この指摘に、深くうなずいてしまった人も少なくないのではないでしょうか。

実際、会議の合間にメールを返し、タスクを整理しながらチャットの通知に反応し、ふとした隙にSNSをチェックしてしまう──そんな日常の連続が、どれだけ集中力を奪っているか。

記事の中では、「一度に1つの作業に集中する」スタイルへの意図的な転換が必要だと説かれていました。

このテーマに関連して、STUDY HACKERに掲載された『人間はマルチタスクに向いてない。一点集中術「パーキングロット思考」で脳は本来の力を発揮できる』という記事も非常に興味深い内容でした。

studyhacker.net

この記事では、「マルチタスク=脳にとってのストレス」であることが明確に述べられています。

私たちの脳には「注意資源」と呼ばれる限られた集中力があり、それを複数のタスクに分散させればするほど、どれも中途半端になる。逆に、「一つのこと」に意識を集中させることで、脳は本来の力を発揮できるのだと。

特に印象的だったのが、「パーキングロット思考」という考え方。

これは、今すぐやらなくていいことや、ふと思いついた別のタスクを“頭の駐車場”に一時的に置いておくという発想です。たとえば、作業中にメールが届いても、すぐに対応するのではなく「返信する」とメモしておいて、いま目の前のタスクに戻る。このシンプルな工夫だけでも、集中が途切れにくくなるそうです。

また、「スケジュールに空白をつくる」ことも大切だと書かれていました。予定をぎっしり詰め込むのではなく、“何も予定を入れない時間”を意図的につくることで、重要な仕事に集中できるゆとりが生まれる。ここでも、「余白」がパフォーマンスを高める鍵になると示唆されています。

二つの記事に共通しているのは、「やるべきことを一つずつ、丁寧にこなすことが、結果的に成果につながる」ということ。

多くのタスクを“同時に”処理しようとする姿勢は、かえって生産性を落とし、疲労やストレスを溜めてしまう。その代わりに、「今ここ」に集中する働き方へのシフトが求められているのかもしれません。

忙しさを理由に、つい「手を動かしていること=進んでいること」と錯覚しがちな今だからこそ、改めて「一点集中」の価値を見直すタイミングなのだと思います。

メールもSNSも仕事も、すべてを一度に処理しようとするのではなく、優先順位をつけ、ひとつずつ着実にこなす。そして、頭の中に散らばっている“気になること”は、一度パーキングロットに停めておく。

そんな小さな習慣の積み重ねが、結果的に「成果が出せる人」「充実感を得られる人」への一歩につながっていくのではないでしょうか。