OJTのノウハウ本は様々出ていますが、日本語翻訳されていない書籍に『Structured on-the-job Training』があります。
この書籍は、「多くの企業ではOJTが無計画に行われている」ことに対するアンチテーゼと学習理論に基づいて実施することの提言がなされています。
OJTは、上司や先輩が部下・後輩に対して仕事を通じて行う指導のことなのですが、伝統的徒弟制(背中を見て学ぶ、模倣学習、まねぶ)のイメージが強い傾向にあり、なかなか効率的・効果的・魅力的な指導になっているとはいいがたいのではないかと思われます。
Structured on-the-job Training(以下、S-OJT)は、インストラクショナルデザインが重視している「学習者中心の原則」に基づいて構築されています。
それを表す重要な指摘に「もし従業員が学んでいないなら、それは指導者が教えていないからだ。」という言葉があります。
つまり、教える側の責任が大きいということです。
では、S-OJTはどのように進めるのか以下に「S-OJTシステム」と「S-OJTプロセス」を示します。
ここで重要な点は、S-OJTは1対1で指導を進めるのですが、組織の関与が重要であるという指摘です。
トレーナーに任せきりにせず、フォローをする体制が成果に結びつくと考えられます。
なお、S-OJTを行うことで、そうでないはない伝統的徒弟制と比較して、4~6倍の時間削減と2~8倍の金銭的効果を示したという結果も出ているとおり、効果的・効率的な指導法として注目されます。
いずれにしても、理論を背景にした指導が重要であるということですね。