オフィスKojo 「伝刻の詞」

「人のこと」にまつわるさまざまなできごとを本質的な視点で見つめていきます。

「Off-JTも生産性向上にとって有効性の高い無形資産投資」

6月11日に独立行政法人 経済産業研究所『企業の教育訓練投資と生産性』という論文を公表しました。

内容は非常に興味深く、「日本企業においてOJT が重要な役割を果たしていると考えられてきたが、Off-JTも生産性向上にとって有効性の高い無形資産投資であることを示唆している」という結論は、教育訓練投資の有効性について論じており、意義があると思われます。

また、「サービス産業において人的資本投資が過小になっている可能性」について示唆されており、今後の成長戦略を考えるとサービス産業がより人的資本投資を行うことが重要であると考えられます。

さらには、「企業による教育訓練投資の果実は、企業と労働者がそれぞれの生産への
貢献に沿った割合で享受」という点も参考になる観点です。

いずれにしても、「働き方改革」を進め、生産性の向上を図るためには、教育訓練投資は有効な手段であると考えられます。

「企業は人なり」の精神で、共に成長していきたいものです。

 

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「労働生産性が高い企業は人材育成・能力開発方針が社内に浸透」

5月25日(金)に独立行政法人 労働政策研究・研修機構が、「ものづくり産業における労働生産性向上に向けた人材育成と能力開発に関する調査」報告を公開しました。

http://www.jil.go.jp/press/documents/20180525.pdf

その中で、「競争力を維持・向上していくうえで鍵となるものづくり人材のうち、現在不足していると考える人材のタイプ」を問うていて、最も高い回答を得たのが「工場管理や作業者の指導ができる工場管理者層 」(55.5%)だったようです。

つまり、管理者・指導者の不足が問題になっているということです。これは、なにも製造業に限ったことではないと思われます。

また、「競争力を維持・向上していくうえで鍵となるものづくり人材の知識・能力」としては、「生産工程を改善する知識・技能」(54.7%)とのことです。

今、企業は生産性の向上を喫緊の課題として捉えている証左といえるかもしれません。

そのうち、「労働生産性の向上」に向けた取り組みとしては、「能力開発」が主たるものですが、中でも「個々の従業員が当面の仕事をこなすために必要な能力を身につけることを目的に能力開発」ではなく、「今いる人材を前提にその能力をもう一段アップできるよう能力開発を行っている」という回答が多く、その差が顕著に生産性の向上に関連していることは興味深い結果となっています。

これは、「人材育成・能力開発」を単純に目下の課題解決の施策として取り組むのではなく、少し長い目で育成する観点、つまり、「キャリア形成支援」の観点をもって取り組む企業のほうが生産性向上を図りやすいと言うことかもしれません。

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なぜ、セクハラはなくならないか?

最近、財務次官や芸能人のセクハラ問題が立て続けに起こり、また、マスコミ関係者におけるセクハラ疑惑も取り沙汰されるなど、「セクハラ」が注目されています。

思うに「セクハラ」を根絶するための取り組み(窓口の設置や研修など)はほとんどの会社・組織で行われているはずです。

であるにもかかわらず根絶しないのは何故なのか・・・不思議で仕方ありません。

私も過去、「セクハラ防止の研修」などには参加したこともありますし、講師派遣などもしてきました。

振り返ってみると、その内容は「どこからがセクハラになるのか?」「セクハラになるのはどのような言動なのか?」などが中心的なテーマだったように思います。

そこで考えてみると、「じゃあ、ここまでだったら良いのかな?」という自分なりの解釈や勝手に範囲を設定して言動をしてしまう、という心の動きまでは抑制できていなかったかもしれません。

となると、過去のセクハラ事例などを分析し、「本来ならリスクが大きくメリットの少ない」はずのセクハラ問題を起こす心の源泉を探る必要があるのだと思います。

いろいろと調べていると参考になるサイトを見つけましたのでご紹介します。

男はなぜセクハラをしてしまうのか : 地政学を英国で学んだ

このサイトから、パワハラとセクハラはワンセットになりやすい、ということが分かります。

案外、「女性活躍」を阻む壁はここにあるのかもしれませんね。

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ロールプレイングの成果を高める

新入社員研修も一段落し、次のステップとして管理者研修などが増えて参りました。

新入社員研修でも、管理者研修でも、「ロールプレイング」という研修技法は効果と効率を高めるうえで優れています。

しかし、通常の研修では、インストラクターは一人であることが主流です。

そんな中で、より効果的な「ロールプレイング」を目指すには工夫が必要になります。

今回、師匠である鈴木教授が「IDマガジン」でそのヒントを提示しており参考になりました。

そもそも、「ルーブリック」という言葉は聞き慣れないと思います。

ざっくりいえば、「職能等級基準」のようなもので、技能レベルを把握するために使用します。

「評価のためではなく、効果的な学習のために」チェックリストやルーブリックを活用したいですね。

<Vol.0073> IDマガジン 第73号

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「副業」について考える

エン・ジャパン 株式会社は、5月16日(水)に『正社員3000名に聞く「副業」実態調査』結果を公表しました。

corp.en-japan.com

この結果で興味深いのは、『88%の方が「副業に興味あり」。』という回答です。

そして、その理由の1位は圧倒的に「収入のため」ですが、2位と3位は「スキルアップ」と「キャリア」で、いずれも2割程度の回答があります。

つまり、「今の仕事以外にも従事したい」という希望がみてとれます。

これは、キャリア形成指向の変化があると考えても良いかもしれません。

働き方改革」が進んでいくと、「ダブルキャリア」が当たり前の時代がくると思われます。

そして、ダブルワークにおいていかにシナジー効果を発揮させるかも重要になってきそうです(もちろん、守秘義務に関してはさらに工夫が必要ですが・・・)。

一方、『副業をする際の難しさ第1位は「時間管理」』ということです。

これも、「働き方改革」のキモも「時間管理」であることを考えると、さまざまな課題を同時進行で解決していく必要があると考えられます。

まだまだ、副業禁止の会社も多いようですが、今後、徐々に解禁されていくことと思われます。

社内の制度整備など、先手を打って取り組む企業が発展していくかもしれませんね。

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「自分の時間」も「所得アップ」も。二兎を追う新入社員

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 株式会社は、5月10日(木)に「2018(平成30)年度 新入社員意識調査アンケート結果」を公表しました。

興味深いのは、年々「プライベート指向」が強まっていることです。

また、AIに対しては肯定的に捉えている傾向が見てとれます。

なお、管理職に対しては「寛容型」「ムードメーカー型」を理想としているようで、仕事もガツガツやるというより、緩やかななかで仕事をしたい気持ちがみてとれます。

このような調査も参考にしていただき、ある程度は新人の気持ちに寄り添う「コーチ型のマネジャー」を目指すことで、能力を引き出していくことが出来そうですね。

もう一つ、本日配信された『「新」経世済民新聞』のコラムが興味深かったのでご紹介します。

定点観測、新人研修

このコラムの中で、『大組織において困難な状況を乗り切っていくには、一人ひとりが教養豊かでなければならない。

教養豊かとは、物知りのことではない。知能指数でもない。

故・福田恒存氏が表現した

「教養とは、どんな人とでも
 馬を合わせることができる」

ことだ。

言い換えると、謙虚で、かつ、優れたコミュニケーション能力を持つことである。

新人は、必ず私に質問する。

「その教養を身に付けるにはどうしたらいいのですか?」

これに対する答えなどない。だから答えにならない答えとなる。

「本を読むこと。そして、どんな分野でもいいからNPO、同好会、市民活動に所属すること」

要は、自分の組織に閉じこもるのではなく、様々な人が様々な人生を送っていることを
身近に知る。その人たちとの関わり合いで、教養とは何か考え続けていく。』

という指摘に共感した次第です。

結局は、人柄。

これは、新人だけではなく、生涯研鑽していく必要があるのでしょうね。

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「働き方改革」のはじめの一歩

みずほ情報総研 株式会社が、5月1日づけで『「会議」のあるべき姿』というコラムを掲載しています。
働き方改革」のポイントの一つとして「会議のあり方を見直すこと」が提唱されています。
案外、「会議」にかかる時間は馬鹿になりません。
参加者全員の時間を奪っているわけで、その会議の価値・成果と費用を単純に金額換算するとゾッとするかもしれません。
「会議」は「衆知を集め、高付加価値のアイデアを出す場」「重要な情報を共有し、方向性を合わせる場」です。
会議室を出た瞬間、「なんだったんだろうね・・・この時間」というようなつぶやきがでない「会議」を「働き方改革」の「はじめの一歩」にしてみませんか?