オフィスKojo 「伝刻の詞」

株式会社オフィスKojoの社長がその刻に感じたさまざまな事象を綴ります。

『Structured on-the-job Training』 

OJTのノウハウ本は様々出ていますが、日本語翻訳されていない書籍に『Structured on-the-job Training』があります。

この書籍は、「多くの企業ではOJTが無計画に行われている」ことに対するアンチテーゼと学習理論に基づいて実施することの提言がなされています。

OJTは、上司や先輩が部下・後輩に対して仕事を通じて行う指導のことなのですが、伝統的徒弟制(背中を見て学ぶ、模倣学習、まねぶ)のイメージが強い傾向にあり、なかなか効率的・効果的・魅力的な指導になっているとはいいがたいのではないかと思われます。

Structured on-the-job Training(以下、S-OJT)は、インストラクショナルデザインが重視している「学習者中心の原則」に基づいて構築されています。

それを表す重要な指摘に「もし従業員が学んでいないなら、それは指導者が教えていないからだ。」という言葉があります。

つまり、教える側の責任が大きいということです。

では、S-OJTはどのように進めるのか以下に「S-OJTシステム」と「S-OJTプロセス」を示します。

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ここで重要な点は、S-OJTは1対1で指導を進めるのですが、組織の関与が重要であるという指摘です。

トレーナーに任せきりにせず、フォローをする体制が成果に結びつくと考えられます。

なお、S-OJTを行うことで、そうでないはない伝統的徒弟制と比較して、4~6倍の時間削減と2~8倍の金銭的効果を示したという結果も出ているとおり、効果的・効率的な指導法として注目されます。

いずれにしても、理論を背景にした指導が重要であるということですね。

ドラッカー教授『現代の経営』入門

「マネジメント」とは?という問いに対して、私たちは「管理」と考えがちです。

しかしドラッカーは、「管理」ではなく「機関(システム)」であると定義しています。

マネジメントは、資源をインプットして、社会をアウトプットとして生み出す仕組みであるということです。

私は管理者研修で、「マネジメントは、目的を果たすために、経営資源をやりくりすること」とお伝えしています。

まさしく、ドラッカーの提唱していることと同様だと考えています。

なかでも、マネジメントを行ううえで重要な資源が“ヒト”であり、その“ヒト”とは感情を持っているという基本原則を忘れてはならない、と言っています。

現代社会におけるハラスメント等の問題は、この「感情」を無視してしまった結果起きているのではないかと思います。

人財が最大の能力発揮できるよう、マネジメントをする立場の者は、しっかりと動機づけできるよう工夫することが重要ですね。

 

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4D Leadership

医師であり、神経科学者でもあるビジネスコンサルタントのDr. Alan Watkins著書の「4D Leadership」に、私が常々、社会人学習の考え方で大切にしていた「OS」のバージョンアップか、「アプリケーション」のインストール・アップデートか、という事について言及がありました。

まさに「我が意を得たり」でした。

私を含め、「すべきこと」を最優先し、「行動」することに翻弄される日々に辟易しているビジネスリーダーの方は多いのでは無いかと思います。

しかし、この本では、内省の重要性を問うています。

昨今のリーダーシップのトレンドもリフレクションであり、やはり大切なことなのだと感じます。

また、我々が対話する際、ついつい「一人称」や「三人称」視点で行うことが多くなります。

著者は、「二人称」視点が重要であると述べています。

つまり、「相手」の意見を尊重するということです。

「二人称」視点を意識できるようになれば「人に譲る」事が出来るようになると言っています。

まさに「興譲」の精神です。

この精神は、高次の精神発達が必要であると著者は述べていますが、まずは、日常的に意識することから始めたいものです。

そのためにも、新しいアプリケーション(知識・技能)にばかり目を向けず、OS(人間性)のバージョンアップを心がけていきましょう。

 

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平成29年の抱負

改めまして、新年あけましておめでとうございます。

平成29年は、弊社も飛翔の年にしたいと考えております。

新たな年を展望すると、全国的な人手不足がさらに深刻化していくことが考えられます。

つまり、新規雇用はますます厳しい状況になり、今在籍している従業員の方をいかに大切に、そして、その能力をいかんなく発揮してもらうか、それが企業の発展を左右する重要な要素になると思います。

そういう意味でも、生産性向上のための人材育成がさらに注目されることでしょう。

しかし、中小企業においては、なかなか人材育成を専門的に行う部署や役割をつけることが困難である事も考えられます。

そこで弊社は、人材育成のアウトソーシング事業を展開していきたいと考えております。

今年も、さらにお役に立てる事業を展開していく所存です。

なにとぞよろしくお願いします。

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不憤不啓 不悱不發(論語 述而第七_八)

憤とは「発憤」の憤です。

辞書の定義でいえば、「これから大いに励もうと精神をふるいおこすこと」で、分かりやすくいうと「ワクワク」する状態であることです。

つまり、孔子は「ワクワクする気持ちのない者には教えない」と言っているのです。

これは、インストラクショナルデザインなどでも重要視されている学習意欲に関する事柄です。

日本でも「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますし、同じく論語に「これを好む者はこれを楽しむ者に如かず(学問を好む者でも、学問を楽しむ者にはかなわない)」という言葉があります。

つまり、学びには楽しむ心が必要なのだということです。

私も「楽習」の精神を大切に学習支援をしていきたいと思います。

 

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独立とは、自分にて自分の身を支配し、他に依りすがる心なきを言う(学問のすすめ 第3編)

福沢諭吉の著『学問のすすめ』は、現代でも通用する考え方が多々記されています。

その中でも、タイトルの言葉は深いものです。

我々は、何か困ったり悩んだとき、ついつい人に頼りたくなります。

もちろん、人に頼ることは悪いことではありません。

しかし、頼ってばかりいると困難を乗り越える力はつかないのです。

自分で解決策を考え、判断し、行動することで次につながっていきます。

まずは自分で考え、その後に人に相談するよう習慣化したいものです。

 

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「横から目線」の「勇気づけ」

山本五十六元帥の名言、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」という言葉がありますが、ここでは、「ほめなければ人は動かない」と言っています。

また、コーチングにおいては、「承認」の重要性が提唱されています。

実は、山本五十六元帥の名言においても、「ほめる」の意味は「承認」であったようです。

では、アドラーは「ほめる」ではなく、「勇気づけ」が重要であると言っています。

つまり、上から目線の「ほめる」ではなく、横から目線で「行為や行動を承認する」ということです。

例えば、部下が資料を作成して報告に来た際、「良い出来映えの資料だね」とほめるのではなく、「いつも資料に工夫がされていて、感心するよ。ありがとう」というようにその人の行為・行動を認めることです。

そうすれば、「ああ、このやり方で良いんだな。今後も工夫しよう」という気持ちが沸きやすいということです。

このように、その人の努力を認め、承認することにより「自分の力で課題解決できるよう支援する」ことにつながります。

アドラーは、こういうアプローチを「勇気づけ」といっています。

ついつい「上から目線」になりがちですが、「横から目線」で承認し、「勇気づけ」るアプローチを大切にしたいものです。

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