アドラーは、フロイトが提唱した「トラウマ」について否定的です。
「トラウマ」は、言い訳に過ぎない、と考えたようです。
過去の失敗体験により、同じ課題を避けたり、再び失敗したときの言い訳に使われているという考え方です。
つまり、「できない」は「やりたくない」だけであり、自己欺瞞だと考えます。
我々は、ついつい自己欺瞞に陥ります。
しかし、「勇気」を振り絞って直面する課題に挑戦することで「トラウマ」を解消することにつながるのだと思います。
インストラクショナルデザインでは、学習を促進するための仕組みである教育システムに関する研究も進んでおり、教育システムを開発するプロセスをさす教育システム設計という考え方があります。
中でも、ADDIE(Analysis:分析、Design:設計、Development:開発、Implementation:実施、Evaluation:評価)が有名です。
これは、システム的な手続きであるPlan-Do-Check-Action(PDCAサイクル)をインストラクショナルデザインに当てはめたものと考えれば分かりやすいと思います。
まずは、問題の所在(どこへ行くのか?辿り着いたかどうかをどうやってしるのか?どうやってそこへ行くのか?)を分析し、教育を設計し、教材やテストなどを開発し、教育を実施し、その効果について評価・改善するという手順を繰り返して、教育の質を高めていきます。
なお、教材開発のプロセスとして、比較的使いやすいモデルに「教材開発の3段階モデル」(鈴木,1988)があります。
このモデルは、診断用・練習用・指導用教材を3段階に分けてつくっていくことを提案したものです。
人材意育成を担当しているものにとって、教育の効果測定は悩ましい問題です。そこで、注目されるのがカークパトリックの「4段階評価モデル」です。
このモデルは、1954年に構想され、1959年に公表された伝統的な枠組みあり、人材育成に携わる者のバイブル的な存在です。
このモデルでは、学習者の教育に対する好感度を示す「反応(Reaction)」、事前事後のテストで測る「学習(Learning)」、教育の成果が現場でどのように活かされ、行動の変容につながったかをフォローする「行動(Behavior)」、そして、教育が組織全体にどのような影響を及ぼしたかを問う「結果(Result)」の四段階で評価を行います。
ただ、企業において研修を設計する際は、業績に対する良い影響がある事を前提に行っているわけで、本来は「行動(Behavior)」に良い成果があれば、「結果(Result)」にも良い影響が現れなければなりませんし、そのような研修を企画していきたいものです。
インストラクショナルデザインは、インストラクションを効率よく、効果的で、しかも魅力的な形で学習支援できるよう設計するための考え方のことです。
では、インストラクションとは何か、というと「学習者の学習を助けること」であり、ティーチングではありません。
なぜ、インストラクションなのかといえば、ティーチングがインストラクションの一部に過ぎないことを示しているからです。つまり、インストラクションには、さまざまな学習支援の方法があり、さまざまな活動があるということです。
インストラクショナルデザインは、「学習理論(心理学)」「コミュニケーション学」「情報学」「メディア技術」などさまざまな分野の知見を取り入れて、より良い学習支援のあり方を追求しています。