オフィスKojo 「伝刻の詞」

株式会社オフィスKojoの社長がその刻に感じたさまざまな事象を綴ります。

インストラクショナルデザインの基盤

人材開発研究が進んでいる欧米では、インストラクショナルデザインという考え方が一般的です。

インストラクショナルデザインとは、学習者が効果的・効率的そして魅力的な学習が進められるよう支援することを目指し、教育学や教育心理学、学習科学などの理論や知見を集大成した考え方です。

その考え方の中心が、「学習者中心主義」と「完全習得学習」です。そして、それを実現するためのベースになる考え方が「スモールステップの原則」と「即時フィードバック」という理論です。

まず、「スモールステップの原則」とは、学習者がなるべく失敗しないように、学習のステップを細かく設定するよう教え方を工夫することです。なぜなら、失敗をするとそれが定着する危険性があるためです。そして、「即時フィードバック」は、「課題の達成時に与えるコメントやアドバイス」のことです。

 

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人材開発の倫理規定

日本では、古来教育に力を入れてきたことを今までご紹介して参りました。

ところが、近年の日本企業における人材開発は、どちらかというと片手間に位置づけられている傾向にあるようです。

しかし、欧米では、人材の能力向上が企業発展の鍵であるという認識のもと、企業における人材開発に関する研究が進んでいます。

そして、欧米の人材開発に関わる者は、倫理規定に基づく専門職と位置づけられています。以下に、その倫理規定を示します。

  • 付加価値原則:顧客と地球環境に価値をもたらすこと
  • 実証実践原則:裏づけのある効果的手法を用いること
  • 協働原則:顧客の良きパートナーになること
  • 継続向上原則:プロとして腕を磨き続けること
  • 誠実原則:正直でうそがないこと
  • 機密保持原則:利益相反をまねかないこと

 これらは、欧米に限らず、日本でも重視されるべき内容であるはずです。

今一度、自社の人材開発を見直してみませんか?

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近江商人の人材育成

「三方よし」は、近江商人の商売に当たっての基本理念といわれています。ところが、「三方よし」という言葉自体は、近江商人に伝わる歴史的言葉ではないようです。元々は、近江商人の中村治兵衛家に「他国へ行商するも、総て我事のみと思わず、その国一切の人を大切にして、私利をむさぼることなかれ」という家訓を近江商人の研究者が、シンボル的標語として用いたもののようです。

それはさておき、そのような崇高な理念を掲げて商売を行う近江商人がどのような人材育成をしていたか見てみると、人事管理から教育まで近江商人の妻の仕事だったようです。育成の中身を見てみると、十歳くらいから丁稚見習いとして採用し、読み書きそろばんから使い走り、子守、掃除などをさせて、商人としての性格や才能の適性を見きわめる店員教育を行い、その後、適性に応じた店に配属したとあります。このことから、近江商人の教育は、知育のみならず、徳育にも力を入れた総合教育で「商人らしさ」を養成していったようです。

また、「陰徳善事(目に見えぬ陰に隠れた形で人のためになるような善いことを行うこと)」という理念をたたき込まれています。

ところが、現代の日本企業においては、人材開発が片手間の仕事に位置づけられている傾向にあり、そのことが企業不祥事につながる一因とも考えられます。

例えば、何か問題があったとき、お客さまの台詞でよく出るのが「お前の会社はどんな教育しているんだ!」というものです。

やはり今一度、自社の人材開発について見直す時期に来ているのではないでしょうか?

「転ばぬ先の杖」それぐらいの心構えで・・・

 

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「してみせて 言って聞かせて させてみる」

この言葉を聞いて「おや?」と思われた方もおいでるかもしれません。

現代においても部下指導の拠り所となっている山本五十六元帥の名言「やってみせ 言って聞かせ させてみせ 褒めてやらねば人は動かじ」じゃないの?という感想を持たれた方もおいでることと思います。

実はこの「してみせて 言って聞かせて させてみる」という言葉は、米沢藩9代藩主 上杉鷹山公の言葉といわれています。そして、山本五十六元帥は、上杉鷹山公のこの言葉に改良を加えて先の言葉にしたという説もあります。

また、福沢諭吉は、「学問のすゝめ」に「人は生まれながらにして貴賎上下の別はないけれどただ学問を勤めて物事をよく知るものは貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるのだ。」という主旨の説を述べております。

さらに遡ると、聖徳太子が記したとされる「三経義疏(さんぎょうぎしょ)」は、倫理教育の教科書としての側面も強く、推古天皇に対する講讃(こうさん)で使われたと考えられています。

いずれにしても、古代より日本人は教育熱心であったことが伺えますし、より良い教育のあり方を探っていたことが分かります。

 

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日本最古の兵法書「闘戦経」

日本最古の兵法書に『闘戦経』という書物があります。
この書は、今から900年以上も前、平安時代の末期に朝廷の書物を管理していた大江匡房が書いたものとされています。
大江匡房は、『孫子』の説く「兵は詭道なり」という兵法が日本人のスタイルに合わ
ないと考えたようです。
ですから『闘戦経』は、「真鋭を説く」と書かれているそうです。つまり、「正々堂々
と戦うこと」が大切だということです。
さて、この『闘戦経』には人材育成に関する項目も多々あります。
中でも、「心に因より気に困る者は未だしなり。心に因らず気に困らざる者も未だし
なり。知りて知を有たもたず、 慮おもんばかって慮りを有たず。ひそかに識りて骨と化し、骨と化して識る。」という言葉は、現代でも十二分に通用する考え方だと思います。
これは、骨にまで達した知識でないと役に立たないということで、つまり、どのような状況であっても通用する知識があり、それを活用できる技能、そして、活用しようとする態度が必要なのです。

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コーチングのキモ

最近、「部下・後輩指導」に関する相談をよくいただきます。
「OJT」が重要だとは分かっているけど、どうすれば効果的な指導・育成になるかわからず、つい無手勝流で行ってしまっている。
結果的に、人間関係も悪くなり、負のスパイラルになっている、というような状況のようです。
コーチングについても研修などで学んだようですが、うまく活用できていないようです。
いろいろと話を伺っていると、ついつい話しすぎているようです。
職場でのコーチングのキモは、部下・後輩に語らせ、その語りの中から気づきを得て、自ら行動の変容につなげることで、自己成長することです。
そのためには、まず聴くことです。
相手の話を受け止め、共感反応を示し、質問や提案などをしつつ語らせていくことが重要なのです。

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後継者育成の重要性

戦国武将の後継者育成を省みたとき、企業における後継者育成の重要性が明らかになってきます。

特に、織田・豊臣・徳川を比較した際に、その重要性が際立ってきます。

また、前田利家の妻まつが、息子の利長に告げた言葉は、現代の経営者にも通用すると思われます。

「武士の責務は家を立てること」

つまり、「経営者の責務は会社を存続させること」にあるということだと思います。

そのためには、人を育て、優れた知識と技能、そして、誰からも愛される人間性を有する後継者を育成する必要があるはずです。

新入社員の時から、会社への愛情を抱くことのできる人を育てる、今、どの企業にとっても重要な課題になっていると考えられます。

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